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 メーリングリストで配信されたお知らせからの引用:



日本フランス語学会第278回例会 

日時: 2012年5月12日(土) 15:00-18:00
会場: 跡見学園女子大学 文京キャンパス 2号館3階 M2308 教室
(東京メトロ丸ノ内線 茗荷谷駅下車 徒歩2分、東京メトロ有楽町線 護国寺駅下車 徒歩8分)

発表者:
(1) 栗原 唯 (青山学院大学大学院)「名詞文の解釈―共発話者の役割」

(2) 渡邊 淳也 (筑波大学)「叙想的時制と叙想的アスペクト」

司会: 守田 貴弘 (東京大学)

*跡見学園女子大学文京キャンパスへのアクセス (**文京キャンパス**での開催となります。十分ご注意ください。)
http://www.atomi.ac.jp/daigaku/institution/access.html
*学会ホームページ
http://www.sjlf.org/



(1) 栗原 唯 (青山学院大学大学院)「名詞文の解釈―共発話者の役割」

 名詞(句)のみで構成される発話、名詞文はBenveniste以降、動詞文と同じように「文」というステイタスを持っているとされているが、具体的にはそれがどのような文であるか、どのように解釈されるのかといったことに関しては、一貫した十分な説明はなされていない。名詞(句)のみで構成されている名詞文では、主語—述語構造を持つ動詞文のようには明白に叙述関係は表されていない。実際、主語—述語という叙述関係に従った解釈は名詞文には不適当であると考えられる。その一方で名詞文は属性付与による評価の表明、事物の提示による出来事などの描写、願望、命令の表明といった多様な意味内容を表しているように思われる。名詞文の受け取り手は、(それを取り巻く文脈の助けがあるとはいえ)名詞(句)のみを前にして、どのように様々な文的意味を読み取っているのだろうか?名詞文という形式の発話を、その受け取り手側の視点に立って、その解釈がどのように行われているのかという点を中心に考察する。



(2) 渡邊 淳也 (筑波大学)「叙想的時制と叙想的アスペクト」

 時制の機能は、「動詞があらわす事行を時間軸上に位置づけることである」とするのがほとんど公理的な定義としてうけ入れられている。しかし実は、それとならんで、事行を眺望する視点を時間軸上に位置づけている場合もすくなくない。本発表では、事行を眺望する視点を時間軸上に位置づけている時制の用法を「叙想的時制」とよび、時制のもうひとつの重要な機能と見なす。フランス語の半過去のさまざまな用法のうち、従来の研究では「モダールな用法」とされてきたもののかなりの部分が、叙想的時制の概念を導入することで説明できることを発表のなかで示したい。
 一方、アスペクトにも、事態そのものが帯びている性質としての完了相・未完了相とは別に、事態をその内側から眺望するという視点の特徴を反映する「叙想的アスペクト」を認めることができるという主張を本発表であらたに提出したい。さらに、発表中では、叙想的アスペクトと見なすことのできるいくつかの事例も見ておきたい。
 最後に、叙想性と未完了アスペクトのあいだに親和性が存在することを確認し、その理由についても考察するとともに、叙想性のよりひろい意味あいとして、視点論、認知モード論との関連づけの可能性を指摘したい。