日 録

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 わたしが代表者をつとめる「筑波大学TAME研究会」( http://www.lingua.tsukuba.ac.jp/lgfr/tame/ )で先週、ブルガリア語の叙法・時制の絢爛たる体系について、たいへん興味ぶかいお話をしてくださった同僚の菱川さんが共著者としてくわわられた新刊のご著書、『ロシア語のリピーティング・トレーニング』をご恵投くださった。よけいなことだが、たまねぎ型の穹窿に、にこにこ顔がえがかれている表紙がかわいい。

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 じつはわたしは、ロシア語学習には何度か手をだそうとして挫折した経験しかないのだが、その原因を思うに、ひとつには、古式蒼然たる参考書しか見たことがないからかもしれない。
 『リピーティング・トレーニング』は斬新で、かつ懇切丁寧な説明がなされているようにお見受けした。
 「リピーティング」というと、いささか古く権威的な語学教育を想起してしまうひとがいるかもしれない。しかし、わたし自身が『パロールの言語学』(日本フランス語学会学会誌『フランス語学研究』50号別冊)の序文で書いたように、「近年さかんになったステレオタイプ理論やコロケーション研究、さらには認知言語学における用法基盤モデルなどの成果を参照するならば、言語は規則にもとづく推論によってではなく、記憶にもとづく模倣によってなりたっていることが理解できる」。その考えかたからしても、当該言語に典型的と思われる例文をよく練習することこそは、語学学習の王道である。
 菱川さんが加筆なさったというコラムやよみものが、語学学習のはげみとするにふさわしい、とてもよい滋味をかもしだしている。