日 録

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 またしばらく、あいだが空いてしまいました。
 先週末(5月28日から29日)まで、3週連続で週末がそれぞれべつの学会でしたので、休みがなく、その前後4週間がつながるような状態で、慢性的に疲れています。
 先週末の学会はフランス文学会の大会で、支援している筑波の院生が発表することもあり、応援に行ってきたり、出版社のかたと打ち合わせをしたり、同時開催されるフランス語学会の編集委員会に出て、そのあと関連の打ち合わせ(謀議?)をするなど、あわただしくしておりました。

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 今月は13日から、Chronos 12 という時制専門の学会に参加・発表することをおもな目的として、フランスに出張してまいります。
 きょうは出張伺を書いたり、海外出張にともなう付帯書類をととのえたりして、ほとんど1日を消しました。
 昨今の物騒な世界情勢を反映してか、安全保障輸出管理の書類まで作らないといけません。
 フランスは輸出先として規制のない国ですし、そもそもわたしは提供できるほどの科学技術はもっていないのですが、それでも一律に身の潔白を申し立てる書類を作らなければならず、どうしても、よけいなしごとをしているという気になってしまいます。

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 さて、おくちなおしに、以下はたのしい話題に限定します。

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 ひとつまえの記事で言及した池袋東武での展覧会のとき、小柳さんの銅版画を購入しておりました。
 これまで、拙著の表紙の制作を依頼するなど、側面的な支持にとどまっておりましたが、作品を購入させていただいたのははじめてです。1点ものの油彩画はともかく、銅版画は、わたしのような薄給教員にもじゅうぶん手がとどきます。
 拙著の裏表紙に作っていただいた鍵のモティーフを中心とする作品です。額装もかわいらしく、ひと目で気にいりました。
 鍵のメタファーで、わたしも今後の研究をのための鍵となる着想を得る助けになるかもしれない、などと思うと、なにやら「呪術的」、といってわるければ、「神話的」(mythique) なありがたみまで感じてしまいます。ありがたいといえば、25刷中の第1刷だそうです。
 先週のうちには東武百貨店から配達していただいていたのですが、あけてみるだけの時間がなく、ようやくきょう、包みを解き、じっくりと見ることができました。
 書斎にかざって、研究の友にしたいと思います。

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 つぎに、NHK放送文化研究所の塩田雄大さんから、新刊の『NHK日本語発音アクセント新辞典』を献本でいただきました。

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 塩田さんも出演しておられる、『NHK日本語発音アクセント新辞典』に関する動画が以下のサイトで視聴できます。
 http://www.nhk.or.jp/bunken/forum/2016/accent.html
 つかみのダイジェスト版動画では、平板式アクセントが増えていることに言及されていますね。
 「ナレーター」や「護衛艦」を平板式でいう、いまどきのアクセントは、わたしもかならずしも好きではないのですが、気がついたら使ってしまっている、というのが実状です。

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 この辞典は、アクセント表示方式の変更が注目されます。
 下がり目がどこかということと、あとにつく付属語が高いか低いかだけが赤字で示されております。
 上記動画サイトの下のほうの質問コーナーで、「Q1.音の上がり目を示さないのはなぜ?」というのがあります。
 いわゆる「上線方式」をやめた理由として、より自然な発音では上がり目そのものが観察されないケースもある(「しんかんせん」(新幹線)で1拍目の「し」と2拍目の「ん」が実状としてはほとんど同じ高さである、など)ということや、語群の途中でふたたび上がることなく、2回(か、それ以上)下がるばかり、という例がある、ということがあげられています。

 しかしながら、わたしは個人的には、上線方式にも利点があったと思います。
 東京式アクセントでは、1拍目と2拍目の高さが違う(冗長に言いなおすと、1拍目が低ければ2拍目が高く、1拍目が高ければ2拍目が低い)という基本的な規則があるために、上線でいちいち示すことはない、というのが上線廃止の前提的な理由になっているものと思います。
 この規則はそれぞれの語に固有のアクセントの問題ではなく、メタ規則のように全般にかぶさってくるものであることから、いちいち表記しない、という理論的選択がなされているようです。
 しかしながら、わたしのように、京阪式アクセント地域出身の者で、「1拍目と2拍目の高さが違う」という規則を完全には内面化できていない者にとっては、かえってむずかしくなったかもしれません。

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 最後に、わたしにとってはいつも慰謝になる、拙宅の庭のくりの木をお目にかけます。
 ほんの30センチくらいの苗木で植えたのに、そして毎冬剪定しているのに、12年ほどでもう2階のヴェランダの高さに達しました。

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 軒に接するかたちで、うまいぐあいに木陰を作ってくれています。

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 まえにもこの《日録》でお話ししましたが、新婚当初に住んだ借家が、広い栗畑に面していて、当時博士後期の院生だったわたしは、まいにち栗畑をながめながら書生生活を送っていたことを思い出します。

 ラヴェンダーも2種類、例年のようにしげってきています。

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 ラヴェンダーの花に、みつばちが蜜を集めにきているのも例年どおりです。

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 自然に種がとんで、掃きだし窓の下の、自転車をおいているところにもラヴェンダーが生えてきています。これをそのままにしているのが、わたしらしいかと(笑)。窓をあけていると、部屋のなかもいい香りになるので、ありがたいです。

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