日 録

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 日本ロマンス語学会大会のため、東京外国語大学にむかう。
 「鉄っちゃん」のわたしは、いったん都心に出ることなく、極力多摩地方のなかでくにょくにょとした経路をとって東京外大にむかおうとする。
 その方法は、永山で小田急線から京王線にのりかえ、武蔵野台・白糸台で京王線から西武多摩川線(旧名称是政線)にのりかえるというものだ。
 京王武蔵野台から西武白糸台へは、果樹園や住宅のあいだをぬって、「これでよいのだろうか」という道をあるく。

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 無事、東京外大につく。

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 ロマンス語学会大会では、まえの職場で同僚だったスペイン語音声学の木村琢也さんの明快なご発表に感動し、スペイン語学研究者でも音声学研究者でもないのに、フロアーから質問してしまった。
 また、筑波で指導している院生の Baptiste Puyo くんの発表もたいへんおもしろかった。参会者から称讃を得ていて、わたしもその称讃のおこぼれに浴した。

 スペイン語学の山村ひろみ先生が代表者の科研費で今春からごいっしょすることになったポルトガル語学の黒澤先生・儀保先生、ルーマニア語学の鈴木先生、フランス語/イタリア語学の藤田先生(山村先生以外は初対面のかたがたのみ言及)とお話しすることができた。
 山村先生の科研費メンバーが8人もいたせいで、総会で多数決で来年度大会の統一テーマをきめるとき、ほとんど組織票で「時制・アスペクト。叙法」にきまった(だいたい、「決選投票は必要ないですね」とおっしゃった司会の黒澤先生からして、この科研費のメンバーであるという...)。あしからず。

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 懇親会にも出て、ビールや赤ワインをのみながら、ながねんあこがれの的だったサルディニア語学の菅田先生(早大名誉教授)や、木村さんを介してほのかに交流があったスペイン語学の泉水さんともはじめてお目にかかり、お話しできた。
 社交がにが手なわたしでさえ、興味を共有するひとたちと話すのはこれほど楽しいのかと思った。
 
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 きょう確認したところ、当ブロク5月10日づけの記事で編集に文句を言った Voix plurielles 所載のわたしの論文の書式がなおっていた。比較的早い仕事ぶりで、安堵した。編者にもお礼のメールをだした。

 当該号のもくじ:
 http://brock.scholarsportal.info/journals/voixplurielles/issue/view/74
 
 (再)掲載された、Gérondif non-coréférentiel と題したわたしの論文:
 http://brock.scholarsportal.info/journals/voixplurielles/article/download/1186/1150

 じつは、この論文を読んでくださった、ジェロンディフにまつわる研究の第1人者であるジョルジュ・クレベール先生(ストラスブール大学名誉教授)から、じきじきにつぎのようなメールをいただいた(論文の内容に直接関連する箇所のみ引用)。
J'ai pris grand plaisir à lire votre article sur le gérondif non-coréférentiel. C'est sûrement celui qui apporte le plus de nouveautés sur ce sujet. Votre travail renouvelle sensiblement les approches plus ou moins rapides de vos prédécesseurs en ce domaine. Je partage un grand nombre de vos analyses, mais je préférerais une explication qui n'utilise pas un Deus ex Machina cognitif. Je pense qu'on peut l'expliquer de manière plus claire, sans recourir à des concepts qui me semblent beaucoup trop commodes, car trop puissants. Ne m'en voulez pas. Votre travail reste un travail de premier choix.
あなたの主語不一致ジェロンディフに関する論文を、大きなよろこびをもって読みました。まちがいなく、この問題について最も多くの新情報をもたらす論文です。あなたのしごとは、この領域で多かれ少なかれ急ごしらえの先行研究を、はっきりと塗りかえるものです。あなたの分析の多くをわたしも共有しますが、認知的な「機械じかけの神」をもちださない説明のほうをわたしはより好みます。あまりにも強すぎるがゆえに、あまりにも便利すぎるそれらの諸概念にうったえることなく、もっと明確にそれを説明することができるように思います。(このように批判したからといって)うらみに思わないでください。あなたのしごとは第一級のしごとでありつづけます。
 このようなおたよりをいただいたら、もう、それだけで気分が昂揚するというものだ(<意外とミーハー)。
 反認知主義的なコメントには、あまり痛痒を感じない。わたしもけっして認知言語学のパルチザンではないので。
 とはいえ、いちおうわたしからも返信でお礼を申しあげるついでに、補足説明をしておいた。