日 録

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PC154757

 いま、いつものちょうしで日常雑記を書こうとするなら、
 だけで終わってしまいそうなので、もうすこし長い目でみた話をしよう。

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 先週水曜、大学院説明会があり、わたしも専攻の広報委員として学生のみなさんをおむかえした。
 文芸言語専攻全体では、あいかわらず高い関心をもってもらえているようで、参会者は60人くらいと、かなりの盛況だった。
 ひさしぶりに、筑波の人文学類からもフランス語学領域の大学院受験を考えてくれている学生がいて、いま卒業論文の支援もしているが、なかなか有望で、おおいに期待をもっている。
 また、出身大学の学事のつごうで、説明会には参会できなかったが、学外からもフランス語学領域を受験してくれそうな学生を知っている。
 大学院を志望してくれるひとは、最近ではまいとし安定した人数がいて、ひところの減少傾向に一定の歯止めがかかったようにみえる。
 世のなかの情勢が不透明になってきて、どうせ不透明なら好きなことをしよう、というように考えているひとがふえてきたのかもしれない。
 そして、それはけっしてわるいことではない。
 年よりの説教にありがちな、「モラトリアム」というわけでもない(最近、この浅薄な弾圧的用語をつかうひとがあまりいなくなったことは、よろこばしい)。
 なぜなら、とくに学内から受験を考えてくれているひとは、すでに企業の内定を得ておられるにもかかわらず、そして、大学院進学のほうが、たんに就職などを考えるにはけわしい道であることを承知のうえで、内定を辞退して大学院をこころざそうとしておられるからだ。そのような例は過去にも複数あった。
 わたしのほうからは、大学院に進んだからといって、将来の見とおしがけっして明るいわけではないので、積極的におすすめする気にはならない。しかしもちろん、興味をもってくれるひとは歓迎している。
 いまでは、大学院は、一貫制博士課程といえども、全員が全員、研究者になると思いさだめたひとがくるところではなくなった。
 だからというわけではないが、フランス語学領域では、まいとし2~3人の新入生をむかえているにもかかわらず、課程博士取得者は2010年代に入ってからまだ2人しかいない(あとひとり、ちかいうちにフランスで取得するひとがいるかもしれない)。
 修士まで修得して、企業就職や公務員など、いわゆる高度な職業人として活躍しているひともいる。それはそれでよい。
 しかしやはり、わかいひとたちにはまず、研究の方面で期待したいと思っている。たとえどんな方向に行くとしても、オリジナルな研究を推進するという経験は、プラスになるにちがいない(それはわたしがナイーヴに言っているだけではなく、実際にいまいろいろなところで活躍しているひとからきいていることだ)。
 
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 一方、わたし自身の文事の予定も少しずつきまってきた。
 まず、10月に広島大学でひらかれたフランス語フランス文学会秋季大会で(その学会では1999年以来15年ぶりに!)研究発表をしてきて、論文も執筆を希望しておいたが、最近、発表聴取にもとづく原稿依頼がきた。しめきりは2月初旬だ。
 フランス語フランス文学会は伝統的には不思議なシステムで、従来は編集委員による発表聴取だけで論文掲載がきまっていた。つまり、原理的には、発表さえ無難に乗り切れば、そのあとでいわば手のひらをかえして、内容を変えてしまうこともできるシステムだったのだ。
 しかし、さすがにそれではまずいということで、いまでは、原稿を依頼するとはいえ、その原稿もまた査読の対象とされるようになった。
 ともあれ、まずは第1段階を通過したことになる。もっとも、今秋は語学分科会での発表者がわたしひとりだけで、競争者がいなかったから、わたしの発表も一応保持されただけのことかもしれない。

 また、昨年秋にアンジェ Angers の西部カトリック大学 Université catholique de l'Ouest でひらかれた学会で発表した原稿を、ことしの9月、論文集に投稿していたのだが、3日ほどまえに(フランスでの冬休み突入直前ということだろう)ようやく査読結果がきて、雑誌 Voix plurielles に論文を載せてもらえることが正式に確定した(いや、これこそ、「査読」という話はきいていなかったので、てっきり事前の要旨提出と発表聴取だけで掲載がきまったものとばかり思っていた)。
 ただし、査読コメントをうけて書きなおしたものを、1月15日までに送りかえさなければならない。さいわい、比較的親切な査読コメントをもらったので、なんとか手なおしはできそうだが、フランス語書きの論文にもかかわらず英語の要旨をつけなければならないのは時代の流れというべきか。

 原稿を出したといえば、『フランス語学の最前線』第3巻にも、アンジェの学会と同様に9月に原稿を出したきりで、まだなにも言ってこない。どうなったのだろう。また、年度末のいそがしい時期に校正がきそうな気がする。