日 録

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 晴れて、あたたかい。夜は雨。

 昼食後、こどもたちをつれて、となりまちの片平というところまで散歩した。
 麻生川というせまい川の両側がさくら並木で、「さくらのトンネル」とよばれる花見の名所になっている。いまが満開だ。
 しかし、残念ながらあたらしい道路を通したり、そのまわりを整備するために、かなり桜が切りたおされ、以前にくらべるとさみしくなった。「保護樹林」という看板が泣いている。「保護樹林」の看板を立てたのも、道路を通すため木をきりたおしたのも、おなじ行政なのだから、あきれかえる。

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 まいとし、花見の季節になると、蕪村の「春風馬堤曲」をおもいだす。

春 風 馬 堤 曲   
                謝 蕪 邨

 余一日問耆老於故園。渡澱水過馬堤。偶逢女歸省郷者。先後行數里。相顧語。容姿嬋娟。癡情可憐。因製歌曲十八首。代女述意。題曰春風馬堤曲。

   春 風 馬 堤 曲  十八首

○やぶ入や浪花を出て長柄川
○春風や堤長うして家遠し
○堤ヨリ摘芳草 荊與蕀塞路
 荊蕀何妬情 裂裙且傷股
○溪流石點々 踏石撮香芹
 多謝水上石 敎儂不沾裙
○一軒の茶見世の柳老にけり
○茶店の老婆子儂を見て慇懃に
 無恙を賀し且儂が春衣を美ム
○店中有二客 能解江南語
 酒錢擲三緡 迎我讓榻去
○古驛三兩家猫兒妻を呼妻來らず
○呼雛籬外鷄 籬外草滿地
 雛飛欲越籬 籬高墮三四
○春艸路三叉中に捷徑あり我を迎ふ
○たんぽゝ花咲り三々五々五々は黄に
 三々は白し記得す去年此路よりす
○憐みとる蒲公莖短して乳を浥
○むかしむかししきりにおもふ慈母の恩
 慈母の懷袍別に春あり
○春あり成長して浪花にあり
 梅は白し浪花橋邊財主の家
 春情まなび得たり浪花風流
○郷を辭し弟に負く身三春
 本をわすれ末を取接木の梅
○故郷春深し行々て又行々
 楊柳長堤道漸くくだれり
○嬌首はじめて見る故園の家黄昏
 戸に倚る白髮の人弟を抱き我を待
 春又春
○君不見古人太祇が句
  藪入の寢るやひとりの親の側

 「馬堤」とは、「毛馬(けま)の堤」の謂いで、いまでいえば旧淀川の毛馬閘門のちかくの堤防のことだ。「澱水」とは(旧)淀川のこと、「江南語」とは大阪方言のことだ。
 大阪でうまれそだったわたしは、なんどか花見の季節に馬堤をおとずれたことがある。
 しかし、東京の隅田川(「濹堤」というようだが)あたりの上品な花見とちがって、欲望に忠実な大阪人は、花見となると七輪をもちだして、馬堤のあちらこちらでホルモン焼きを焼くもので、さぞやさくらも煙たかろう、という光景だ。「花よりだんご」どころではない。蕪村がみたら嘆くだろう。

 自宅の黄水仙も8分咲きといったところだ。

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