日 録

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 中学時代の同級生(じつは幼稚園もいっしょだった)、Sくんの忌日。
 Sくんは亡くなるすこしまえに、どういうわけか、わたしに、「きみは教師になったほうがいい」と言ってくれていたことをおもいおこす。

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 きょうの日中は、ほとんどずっと雨がふっていた。
 気温が高いわけではないが、たいへんな湿気で、額にたれた汗がいつまでもひかない。
 非常勤出講先、白百合女子大にゆき、前期の期末試験を実施した。
 学生も教員も、ながかった学期がやっとおわることをよろこんでいる。
 暑くてろくにあたまもはたらかない時季にも学期をつづけることで、「年間30週」という授業回数を墨守することにどれほど意味があるのか、はなはだ疑問だが、世の趨勢はきちきちと額面どおりの数字を実現するのがよろしい、ということになっているらしい。

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 かえりみち、まえの職場で同僚だったG先生と、小田急の電車のなかで偶然お目にかかった。
 音楽家マルグリット・フランスさんの葬儀に出席してこられたとのこと。
 フランスさんはわたしの前任校でも教えておられた時期があったそうだが、わたしの在職時期と離れていて、面識はない。
 1993年のフランス文学会春季大会で、あの学会としてはめずらしい演奏会がひらかれ、それに出演なさっていた。

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 先週、つぎのようなお知らせがメーリングリストで配信されて、発表者のお名まえに見おぼえがあった。

 第8回京都言語文化教育研究会
 2013年8月1日(木)14:30より
 京都大学吉田南構内総合館216(南棟2階)

 落合知子(神戸大学)
 「公教育におけるニューカマー児童への母語教育の意義:当事者とその周囲への影響を中心に」
 本発表では神戸市の公立小学校に設置されたベトナム語母語教室における活動が当事者であるベトナム系児童やその周囲の日本人児童、教員、地域住民にどのような「学び」をもたらしているか明らかにすることを目指す。

 フランシス・カルトン(ロレーヌ大学)
 「言語学習における異文化間教育の新しいアプローチについて」(フランス語発表,通訳あり)
 学校教育や学校以外での教育に異文化間アプローチを導入することは本質的に有効であると考えられる。異文化間アプローチとは,異なる文化間でダイナミックな交流のプロセスを指す。異文化間能力を持つ人間とは,他者との接触や交流,関係を通じて自らを認識し,構築する。「人間とは,同一なるものと異なるものとの岸辺を結ぶ橋である。」(ジャン=ピエール・ヴェルナン)


 ReaD に出ていた落合知子さんのプロフィルをみて、しばらく考えた結果、このかたは、わたしの筑波大学人文学類で1年先輩だったひとだと確信するにいたったので、メールをおくり、そのとおりというお返事をいただいた。
 ほんとうは8月1日の研究会に参会できればよかったが、「じつは筑波大学ではちょうど今年度から、創立以来40年つづいた3学期制が廃止され、2学期制に移行したので、まだいろいろとしごとがのこっていて...」と説明し、うかがえないことをわびておいた。
 しかし、隣接分野を研究しておられるので、また別の機会にお話をうかがうなど、交流をさせていただくことになった。

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 報道からうける印象であり、統計にもとづいてはいないので、おそらくじっさいには反証されるだろうとは思うが、最近、ニホンでは兇悪な事件が多く起きているような気がする。
 マスコミでは、「山口殺人放火事件」とか、「広島死体遺棄事件」といわれるが、インターネットや、それに追随する夕刊紙では、前者を隠喩的に「(平成の)八つ墓村事件」、後者を換喩的に「LINE 殺人事件」と呼んでいて、修辞的なのに、もっとも本質的なところを直接さししめすかのような名まえでよばれている。
 もちろん、事件を『八つ墓村』の映画とまったく同一視しているわけでもなければ、LINE が事件を直接ひきおこしたかのような物語をつくろうとしているわけでもない。ただ、実際のおそろしさ、気味のわるさに見合った名まえになっていると思うのだ。
 これはインターネットで多くのひとのことばを糾合した結果の、民衆智のようなものではなかろうか。そして、言語慣習ができあがってゆく過程もまた、そのようなものではないかと思う。
 このようなことでも、「名まえ」に着目してしまうのが、われわれ言語学徒の職業病かもしれない。

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 先日のサンティアゴ・デ・コンポステーラでの高速鉄道の事故は、たいへんショッキングだった。
 サンティアゴ Santiago とは「聖ヤコブ」の謂いで、まさに聖ヤコブの祝日にちかかったので、巡礼者もおおかっただろう(ちなみに、「・デ・コンポステーラ」がついているのは、「サンティアゴ・デ・チーレ」(チリのサンティアゴ)など、おなじ名まえを帯びたべつの都市と区別するためだろう)。
 じつはわたしが昨年、ウズベキスタンに出張したとき、タシュケントからサマルカンドまで乗った高速鉄道≪Afrosiyob≫が、今回スペインで事故を起こしたのと同型の車体(Renfe 130系)を輸入したものだった。いまごろ、ウズベキスタンのひとたちも震撼しているだろう。

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▲昨年、サマルカンド駅でとった写真。