日 録

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 小樽商科大学の田林洋一さんからご著書をいただきました。ありがとうございます。

P2130982

 すこし拝見するだけでも、否定の問題のなかでもとくに重要な部分についての、意欲的な研究であることが感じられます。
 時間をみつけて、楽しみに読ませていただきたいと思います。

 ちなみに田林さんは、かつてわたしと同僚だったことのある木村琢也さん(タレントの木村拓哉よりとしうえなので、「元祖キムタク」とも)の指導のもとで博士論文を書かれました。
 今回のご著書は博士論文をもとにしてまとめられたものです。以下に書誌的情報、もくじを転記しておきます。

 田林洋一 (2012) :『スペイン語の否定語の概念構造に関する研究』ひつじ書房
 A5判、10+342ページ
 定価 7,500円+税
 ISBN 978-4-89476-613-6

 本書は、スペイン語の否定現象、特にENを伴う前置詞句を主題化させると否定文になる「EN否定」と呼ばれる現象の概念構造を考察した研究である。EN否定のみならず、スペイン語の否定語に関する概念構造を網羅し、それに対して一定の説明原理を構築することを目的としている。スペイン語や否定現象に関心のある大学生、大学院生、研究者を主な対象としているが、認知言語学的な考察は、広く言語学に興味のある読者にも有益である。

 目次

 まえがき
 序論
 1. はじめに
 2. 理論的背景
 
 第一部 スペイン語の否定語とその他の否定要素
 第一章 スペイン語の否定語についての概説
 1. 否定語no について
 2. その他の否定語について

 第二章 否定語と否定環境
 1. 否定語が動詞に前置するということ
 2. EN 否定における主題化と否定語の動詞への前置
  2.1 Bosque(1980)の主題化の扱いについて
  2.2 主題化の痕跡と否定語が動詞に前置した時の痕跡
  2.3 否定の呼応とno 以外の否定語の前置
  2.4 従属節内の否定語と否定環境
 3. EN 否定における痕跡と否定現象及び否定表現
  3.1 否定の移動(Transporte de la Negación)の概略
  3.2 TN の本書の理論への応用
 4. 否定含意述語と理論的拡張
  4.1 否定含意述語の概略
  4.2 否定含意述語と痕跡の応用
 5. 語否定と理論的拡張
 6. 前置詞sin と理論的拡張
 7. 副詞incluso、ni siquiera と理論的拡張
 8. 修辞疑問及び修辞感嘆文と理論的拡張
 9. 章結

 第三章 その他の否定要素
 1. 否定極性項目について
  1.1 否定極性項目の若干の考察
  1.2 段階的な極限を表す否定極性項目
  1.3 慣用句としての否定極性項目
   1.3.1 慣用句についての若干の考察
   1.3.2 否定極性項目としてのスペイン語の慣用句
  1.4 否定極性項目としての不定名詞句
  1.5 否定極性項目としての名詞に後置されたalguno
 2. 虚辞の否定語について
  2.1 虚辞の否定no について
  2.2 No 以外の否定語の虚辞の否定について
 3. 比較構文と否定について

 第二部 スペイン語EN 否定における意味構造
 第四章 EN 否定の概略
 1. 導入
  1.1 前置詞EN の概略
 2. EN 否定の主な先行研究
  2.1 Bosque(1980)によるEN 否定の扱い
  2.2 Sánchez López(1999)によるEN 否定の扱い
  2.3 Bruyne(1999)によるEN 否定の扱い

 第五章 意味的側面
 1. EN 否定の項構造
  1.1 EN 否定の統語的条件
  1.2 EN 否定の項構造
   1.2.1 Goldberg による構文文法について
   1.2.2 使役移動構文の影山(1996)による概念構造標識
  1.3 EN 否定の概念構造
   1.3.1 構文文法におけるEN 否定
 2. EN 否定の意味役割
  2.1 意味役割における先行研究の概略
   2.1.1 場所理論の概説
   2.1.2 Jackendof(f 1990)の意味役割の扱い
   2.1.3 Baker(1988)の意味役割の扱い
   2.1.4 加賀(2001)の意味役割の扱い
  2.2 意味役割の提案
   2.2.1  マクロな意味役割と意味役割素性によって拡張される説明力
    2.2.1.1 二重目的語構文と受動構文
    2.2.1.2 後置主語構文
   2.2.2 EN 否定における主題化された前置詞句の特徴
 3. EN 否定の極性決定条件とその極性環境
  3.1 先行研究の扱いについて
   3.1.1 先行研究におけるEN 否定の極性について
   3.1.2 否定極性決定に関する先行研究の概略
   3.1.3  Sánchez López(1999)におけるEN 否定の極性決定について
   3.1.4 Linebarger(1991)における極性決定の扱い
   3.1.5 Ladusaw(1980)における極性決定の扱い
   3.1.6 奥野・小川(2002)における極性決定の扱い
  3.2 本書で提案する否定極性決定条件
   3.2.1 命題否定とモダリティ否定の分割とQR
   3.2.2 EN 否定における極性決定条件とその環境
    3.2.2.1 予想に従ったEN 否定のケース
    3.2.2.2 予想に反したケース
    3.2.2.3 更に予想に反しうるケース

 第三部 総括と展望
 第六章 総括と展望
 1. 語用論的側面
  1.1 否定の非対称性について
  1.2 前提と否定について
 2. 重文と相
  2.1 重文におけるsino とpero
  2.2 相
   2.2.1 相についての若干の考察
   2.2.2 前置詞hasta について
   2.2.3 副詞todavía とya について

 結語
 参考文献
 索引