日 録

 きのうは上智大学に、現在共同で受給中の科研費(ロマンス諸語の時制・アスペクトの対照研究)のうちあわせに行ってきた。
 おなじ用件で、ふだんは週末にしか来ないのだが、学期中の週末より、春休み中の平日のほうが大学はにぎわっていた。
 
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 12月、わたしの日程管理の不手際で、おなじ科研費のうちあわせに参加できなかったので、みなさまとお目にかかってお話しするのはひさしぶりだ。
 ロマンス諸語にはいずれも興味があり、今後共同ですすめてゆくデータベースのタグづけなどのうちあわせをしていると、雑事にまぎれて最近消磨ぎみだった研究意欲がもりかえしてきたような気がする。
 年度もまもなくあらたまることだし、またがんばろう、とめずらしく前むきなこころもちになっている。

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 拙宅の白水仙が見ごろだ。無心に咲く、素朴な花が好きだ。
 東京では、桜だけははやく咲いたそうだが、全般的には、ことしは春がややおそいように感じる。

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 去年のいまごろ( http://palantien.blog137.fc2.com/blog-entry-354.html )、拙宅の庭ですでに咲いていた八重咲きの黄水仙は、ことしはまだつぼみだ。

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 ▲昨年3月29日

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 ▲今年3月30日(きょう)
 春休みにはいったこどもたちと、妻とともに、先週末を中心に、大阪の実家に行ってきた。
 こどもたちにおじいちゃん・おばあちゃん孝行をさせることが主目的なので、主目的は達したと思う。

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 26日は雨だったが、27日は晴れたので、こどもたちをつれて大阪万博記念公園に行ってきた。
 この場所にくるのは、1983年、高校1年のとき、おなじクラスの有志一同と遊びに来て以来、じつに34年ぶりだ。
 ごていねいに、当時、上の写真とまったくおなじ場所で、おなじ太陽の塔を背にしてとった記念写真ものこっている。
 それ以前にもたびたび来ていたので、記憶とふかくむずびついた場所だ。
 そんなところに、ながいときをへだてて、しかも自分のこどもたちとともにまた来ることになるとは、感無量だ。

 芝生の上を走りまわったり、(小学生の娘だけ)遊具であそぶところを見まもったり、家族4人でサイクルポートにのったりしたあと、« EXPO '70 パヴィリオン » と題された大阪万博全体を記念する資料館をみてきた。博覧会当時は « 鉄鋼館 » だったたてものだ。
 1970年の大阪万博には祖母につれていってもらったりしたらしいが、当時3歳だったわたしは万博そのものはまったく記憶がない。
 とはいえ、3年保育の幼稚園にかよった、その1年目の生活ははっきり記憶があるので、たいへん近い時期の世のなかの雰囲気はおぼえているのだろう、当時の写真や、当時使われた道具などの実物展示を、たいへんなつかしく感じた。

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 また、常設展のほか、« 建築の記憶 » と題された企画展もいまだけ開かれていて、こちらも見てきた。
 たんに高度成長時代だったというだけでなく、「科学技術がひらく明るい未来」が強く信憑されていた時代、という背景がはっきり感じられる。
 いまはどうだろう。過去になされた未来予測の多くは、否定的な面をすくなからずはらみながらも、実現してしまっているようだ(否定的ということのなかには、原発事故のような人災もふくまれる)。
 いまから未来を予測するならば、むしろディストピアっぽいことにしかならないのではないか。

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 いまはあとかたもなくなってしまったエキスポタワーにも、中学生のころにのぼったことがある。
 ここはエレヴェーターの「呼」ボタンを押すとかごの中でブザーがなって、オペレーターが呼ばれた階まで向かわせるという、1970年仕様だった...というつまらないことを記憶している。
 しかし、このエキスポタワーのカプセル状になった展望室が、当時構想された「未来の住居」のすがただったということは、今回展示をみてはじめて知った。

 大阪に帰るなら知らせるよう、おっしゃってくださったかたがたには申し訳ありませんが、今回はこどもたちの相手で手をとられることがわかっていたので、とくに連絡しませんでした。ご容赦のほど。
 晴れ。春らしいあたたかさになった。しかし風がつよい。
 えるたそ~さん帰国、ならびにブランシュ=ネージュさま修士取得を祝して、10日につづいて、北千住 « 幸楽 » を再訪し、総勢6人でビールを飲んできた。いつもながら、どじょうの唐揚げが絶品だ。

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 横浜の元町あたりにはめったに行かない。おそらく20年ぶりくらいに来た。なので、みなとみらい線にのるのもはじめてだ。

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 東横線、副都心線から西武線にまで直通で、いちばん遠くは飯能まで直通列車がある。

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 Yui さんとこの元町・中華街駅でまちあわせて、まず近くの « Brasserie Artisan » で昼食をとりながら相談ごとをする。
 そのあと、近隣の « フジムラコンテンポラリーアート » にゆき、いま開催中の Yui さんの銅版画の個展、『錆色の森』をみてきた。

Yui 銅版画新作展『錆色の森』

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 版画はいつもながら微細で、今回は制作の過程もわかるよう、原版も展示されていた。
 今回の展示は、はかなくもうつくしい蝶の生滅にことよせた新たな連作で、夢見ごこちになった。
 1年ぶりに帰国なさった大学院生のえるたそ~さんと再会をはたし、欣喜雀躍♪ るんたった~♪ るんたった~♪
 あ、「1月にもフランスで会ったから、たいした久闊ではなかろう」というツッコミは無用に願います(笑)。

 北千住でまちあわせ、学会発表にむけての準備など、研究上の相談をうける。
 えるたそ~さんはまだ帰国して数日しか経っていないにもかかわらず、すでに図書館で多くの歴史書(コーパスの候補)を借り出し、かつ調査対象の形式に多数の付箋をはりつけておられた。すばらしい。

 まず « イタリアントマト » でカップケーキをたべながら、コーヒーをのみながら話す。

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 ひととおり話したら、朝10時から酒肴を出しているという、北千住ならではの店、 « 幸楽 » にゆき、ビールをのみながら、どじょうの唐揚げをたべる。
 どじょうの唐揚げは絶品だ。えるたそ~さんはこれがとてもお好きのようで(中身はオッサンなのではないかという疑惑)、「ニホンにかえってきた気がする」とおっしゃっていた。

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 夕刻、腹ごなしと酔いざましをかねて、宿場町通りをあるき、荒川の土手まで散歩した。手まえから順に、JR線(複々線)、つくばエクスプレス、東武線(複々線)の鉄橋がならんでかかっている。

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 対岸には首都高速道路がはしっている。

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 河畔にたたずむわたくしめを、えるたそ~さんがうしろから撮ってくださった。左肩からかけたかばんが上着とつながって見えるので、よけいにふとって見える(ということにしておいてください)。

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 おみやげにいただいた、ランス Reims のお菓子。素朴でやさしい味だ。

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 出かけるとちゅう、千代田線車輌なのに新宿行きという、非常にめずらしい運用の電車にのりあわせた。ダイヤみだれで、千代田線と小田急線との相互乗り入れをとりやめた結果、小田急線内にとりのこされた千代田線車輌がしかたなく新宿にむかった恰好だ。

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 筑波大学の交流協定校でもあるパリ第13大学の Aude Grezka さんの講演会があったので、4日まえに来たばかりの早稲田大学を再訪した。

早大戸山キャンパス

 春休み中の平日のせいか、わずか10人ほどの聴衆しかあつまらなかったが、かえって親密に質疑応答できてよかった(すべての参会者がなんらかの発言をできるほどだった)。
 14時から16時すぎまでが講演会で、おわったあと近隣でコーヒをのみ、17時から場所をうつして懇親会。懇親会にはわずか5人しかこなかったので、わたしも Grezka さんと直接いろいろな話ができた。
 今回の企画の主催者だった K さん(あ、そういえばこのブログに登場するほかのかたがたのように、コードネームをつけられないものか)は、かねてより Grezka さんと個人的にも親しく、懇親会がおわったあと、さようならをいうときも、なみだを流して抱きあっておられ、学的交流と個人的な友情がふたつながら成りたっている、うつくしい例であるように思った。
 かくいうわたしも、K さんにはいくらか肩入れしているつもりなので、学的な活動の根柢には、なにほどか情的な次元が存在することはめずらしくないのではないかと思う。「理論」をつかさどる次元に、「感性」があるのではないかと、これは以前、わたしがジョルジュ・パラントの著作にことよせて肯定したことでもある:
 http://www.ne.jp/asahi/watanabe/junya/palante/antinomies.htm
 そうであるだけに、感性的次元から学的次元にいたるまで、堅固な信頼、協力関係をきずいておられる K さんと Grezka さんに敬意をいだかずにはいられない。
 だいたい、ニンゲンどうしで、いがみあっている場合もすくなくないのだから、「協力できる」ということだけでも、すばらしいことだと思う。
 ギリシアの劇作家メナンドロスのことばに、"Deus est mortali juvare mortalem" (ひとがひとを助けることは、神だ) というのがある。つまり、「神」は、「協力」という行為のなかにこそ存するのだ。近年のはやりことばでいう、「神対応」というものに接続したくなる。これをいうときだけは、ふざけているのではない。メナンドロスのことばも、「神対応」も、本質はおなじだと思う。
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 所得税の確定申告書を提出するため、« ぽっぽ町田 » にゆく。
 すでに書いてきた申告書を単に提出するだけでも長蛇の行列で、これだけでも疲れる。

 6年まえ、おなじように確定申告書を提出に行った日に、東日本大震災が起きたことを思い出さずにはいられない。
 高い税金を払うのはおもしろくないことだが、東日本大震災の日、確定申告のために地元にいたおかげで、帰宅難民にならずに済んだものだ。

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 確定申告書を無事提出したあと、« ぽっぽ町田 » のとなりの « ぎょうてん屋 » にはじめてゆき、昼食に、« 二郎 » インスパイア系の「ぎ郎」をたべる。
 健康上の理由から、ラーメンはたまさかの楽しみにしている。
 野菜増しを所望。野菜といっても8割がたはもやしなので、たべるのは見かけほどたいへんではない。野菜はゆでただけなので、卓上の高菜といっしょにたべるとおいしい。

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 たいへんこしの強い太麺で、たべごたえがあり、おいしい。

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 池袋の « 大 » や、かつて渋谷にあった « 梵天 » など、« 二郎 » インスパイア系どうしがひとまとまりに類似しているような気がする。しかも、それらはいずれも、ほんものの « 二郎 » からははなれているように思う。そしてわたしは、そうした布置のなかで、インスパイア系のほうが積極的に好きだ。

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 ♪1年2年は夢のうち~
 ♪まさかとわらって待てば~(中島みゆき『トーキョー迷子』)

 というような心境で待ちつづけた、えるたそ~さんが、ご無事で1年ぶりに帰国なさった。19時ころ、ご本人からメールをいただいた。めでたしめでたし。
 学会誌編集委員会のため、早稲田へ。
 はじまるまえ、すこし時間があまっていたので、(早稲田にはたびたび来ているのだが、はじめて)穴八幡宮にはいり、境内をあるきまわった。
 無知をさらすようで、たいへんはずかしいのだが、ここは鳥居も門も櫓もあざやかな朱色にぬられているのに、なぜ本殿だけは朱色でないのだろう?

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 委員会のひらかれた16階の会議室は、ちょうど穴八幡とむかいあわせの位置にある。

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 きょうの会議はとくにこれといった問題もなく終わったが、わたしは先週末の泊まり勤務以来、ずっと疲れがとれないでいて、最近の紋切り型表現でいうところの、「明日から本気出す」という状態がつづいている。
 « おぼえがき » にはすでに出しているが、イヴェントの告知を2件、貼りつけておく。

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Aude GREZKA 氏 講演会

パリ第13大学LDI(Lexiques, Dictionnaires, Informatique)研究所の Aude Grezka さんによる講演会が開催されますのでお知らせいたします。

Aude Grezka : Ingénieur de Recherche CNRS,
   Responsable de l’Équipe Lexiques de
   Laboratoire Lexiques, Dictionnaires, Informatique (LDI),
   Université Paris 13

発表タイトル: “Phraséologie et traduction : bases de données et applications”

発表内容:
 (i) la méthodologie scientifique et la théorie ;
 (ii) les problèmes rencontrés ;
 (iii) les outils que nous développons au laboratoire

発表要旨へのリンク:
http://www.sjlf.org/wp-content/uploads/2017/02/Grezka.pdf

使用言語:フランス語(通訳なし)

日時:2017年3月8日(水) 14:00~16:30

場所:早稲田大学文学学術院(戸山キャンパス)33号館16階第10会議室

主催:科学研究費助成金(若手B)「フランス語の知覚動詞に関する凝結表現の研究」
   (課題番号 16K16822)(代表 木島愛)
共催:日本フランス語学会 および
   筑波大学総合言語科学ラボラトリー

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Yui 銅版画新作展『錆色の森』

小柳優衣 銅版画新作展『錆色の森』

●会期
2017年3月3日(金)~26日(日)
※ 月・火 定休
12:00~18:00

●会場
フジムラコンテンポラリーアート
http://www.fujimura-art.com/
横浜市中区元町2-91-11 Iyeda Bldg 2F
TEL:045-641-3070
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