日 録

 一昨日(木曜)と昨日(金曜)、推薦入試だったので、つくばに泊まりこんでそれにまつわる業務にたずさわった。

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 さいわい、天気もよくて、交通機関の遅延などもなく、実施にあたって突発的な問題もまったく起きないで済んだ。
 つくば駅から筑波大学までの関東鉄道バスも臨時増発体制。

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 わたしは裏方なので、1日めの筆記試験、2日めの面接が進行しているあいだ、ながい待機時間があり、Dominique Depenne の論文、« Georges Palante contre Emile Durkheim » (Philippe Corcuff ほか編、L'individu aujourd'hui, Presses universitaires de Rennes, 2010 所収) を読んだ。
 れいによって、いくつもの発見があった。
 まず、アノミー anomie という概念が、デュルケムとちがって、パラントにおいては、決定論をはなれ、自由な可能性を開放することとして肯定的にもちいられているということ。
 そして、それと関連して、その可能性に対する想像力の問題としてボヴァリスム Bovarysme が論じられているということだ。これまで、わたしにとってはボヴァリスムは難解で、正直にいって、パラントの思想のなかでの意義がわかっていなかったが、この論文をよんで、いくらか理解できたような気がする。
 また、しばしば1898年の論文「個人主義と知識人」を根拠としてデュルケムが « 個人 » の擁護者であるかのようなことがいわれるが、ドゥペンヌはそのそのような説は「誤った名ざし」(abus de langage)であるとして一刀両断しており、ながねんわたしが疑問に思っていたことに対して胸がすくような解決があたえられた気がした。
 来年は、専門外にもかかわらず、論文の一本でも書きたいと思っている(来年がパラント歿後90周年なので、なおさらだ)。

 まいとしこの季節から、 « つくば光の森 » が点灯されている。
 クリスマスまでで終わりにするのではなく、ヨーロッパふうに、1月の公現祭(エピファニー)の時期まで点灯している。
 青色のLEDは、寒々としていて、以前はあまり好きではなかったが、だんだんと見なれて、これもよいと思えるようになった。

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 晴れて、あたたかくなる。
 気管支ぜんそくの医療費助成の更新申請など、いくつか用件がたまっていたので、町田市役所にゆく。

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 めずらしく余力があったので、複数の古書肆をみてまわり、ふだん読むための気にいった書物を4冊ばかり買ってきた。
 前任校に勤務していたころは、町田の中心街にもよく来たものだが、いまはめったに来ない。よく来ていたころからは、かなりさまがわりした。
 « 東急ハンズ » が自社ビルから撤退したり、旧 « 大丸プラザビーミー » が « モディ » になるなど、入れかわりがはげしく、記憶のなかのまちと一致しないが、その記憶を修正できる機会もすくないので、結局、ピンポイントで知っているかぎられたところにしか行かない。

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 スペイン演劇研究者の古屋雄一郎さんから、共訳書『現代スペイン演劇選集I』の献本をいただいた。
 すこし読ませていただいたが、話しことばにふさわしい、よくこなれた日本語訳で、生田耕作をおもいおこすようだった。
 また、「モロッコの甘く危険な香り」の終わり近くで語られている夢の国とは正反対のディストピアに生きていることを思わずにはいられない。

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 きのうまで、自宅では、NTT東日本の « FLETS光 » で、プロヴァイダーの朝日ネットの対応プランとくみあわせて電話とインターネットを利用していたが、きょうから、通信速度国内最速をうたうSo-netの « Nuro光 » にのりかえた。それでいて、月々の料金もNTTより2000円ほど安くなった。
 屋内配線工事(外壁端子から光コンセントまで)、ならびに屋外工事(電信柱から自宅まで)は先週すませていたが、NTTからの番号ポータビリティー適用を希望していた関係で、Nuro光電話が開通するまで1週間かかり、ようやくきょうから全面的にSo-netに切りかわった。パソコン、電話をつなぎなおし、すべて異常がないことを確認した。
 3年半ほどまえ、ADSLからFLSTS光にきりかえたときに、たのみもしない付帯サーヴィス(有料)をあれこれ勝手につけてくるなど、NTTの代理店の対応が最悪だったので、できることなら早くやめたいと思っていたが、やっと思いどおりになった。
 上述の番号ポータビリティーにくわえて、従前のプロヴァイダー、朝日ネットとも、ホームページ、メールアドレスなどのサーヴィスのみ残すかたちでプラン変更したので、電話番号、家庭用メールアドレス、ホームページアドレスなどは一切変更しなくてよい。これもストレスが少なくてありがたい。
 筑波大学の学内は紅葉が見ごろになった。きょうは冷涼で、ときおり雨がふったが、このような天気もわたしは好きだ。

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 今月末の推薦入試をひかえて、裏方のしごとが本格化してきているので、たいへんいそがしく、疲れやすいまいにちだが、そんななかでもいくらか「ちいさなしあわせ」があるので、披露できるものは以下に書いてみたい。

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 耐震化をかねたリフォーム工事をしている研究棟で、とてもなつかしいにおいがした。
 しばらく考えた結果、塗料のにおいが、40年まえ、こどものころよく前をあるいていた映画館とおなじだったことに思いいたった。
 その映画館からは、いつも塗料のにおいがしていた。なぜかというと、新しい映画を上映するたびに、俳優の似顔絵などをあしらい、題名をしるした看板をその場でペンキで塗ってかかげていたからだった。2~3週間でまたつぎの映画になるので、塗られたペンキがいつも比較的新しく、においを放っていたものと思う。
 ところが、塗料にもいろいろあるから、なつかしい映画館のにおいがする塗料はめったにない。めずらしくおなじにおいがすると、ひそかにむかしを思い出し、甘い感傷にひたってしまう。

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 「Linux にかんする記事は今後はここには書かず、« おぼえがき » に書く」と宣言していたが、ひさしぶりにクリーンヒットというべき経験をしたので、ここにしるしておきたい。

 自宅では2台のパソコンにLinuxを入れて使っている。そのうち1台はもとは Windows XP が入っていた DELL のノートパソコン XPS で、いまは Lubuntu(Lubuntu はデスクトップのデザインがいちばん好きなので)をいれて、とても快適につかっており、最高の成功例といえる。もうひとつはもとは Windows 2000 がはいっていた東芝 Libretto で、これは Bodhi Linux にしている。
 大学のわたしの研究室でもこれまで2台のパソコンを Linux にした。そのうち1台は DELL の Latitude-E6400 で、もともと Vista だったが、これも Lubuntu にした。しかし、モニターがこわれたので、いまは別のモニターをつながないと使えない。最後の1台は転職前の2005年ころに買った、いまでは骨董品というべき SOTEC の XP のパソコン(ファンの音が共鳴してうるさいので、愛称「爆音パソコン」)で、Puppy Linux にした。これはほんとうに遊び程度。これらについては、今年の1~2月、おりにふれてこの « 日録 » でも紹介した。

 それら4台をLinuxに転換して、自分だけで(「ググレカス方式」で)あれこれ楽しくいじってきたが、ことしの6月、初めて大きな壁にぶつかった。
 今年の春先までつかっていた、もとは Windows XP が流通していた最後のころのデスクトップパソコン(ちなみに、福岡の特徴的な会社「アプライド」の BTO パソコンだった)で、もうこのままでは全く使わないものに、Lubuntu または Ubuntu を全面的にインストールして使いたいと思っていた。
 しかし、「ルートファイルシステムが定義されていません」というエラーメッセージが出てくる。

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 Lubuntu のライヴ CDR も Ubuntu のライヴ DVDR も試したが、症状はいずれもすべて同じ。本来なら、上の写真にみえている「インストール」の窓にディスクのパーティション状態が示されるはずだが、ここがつねにブランクになっていた。

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 パーティションエディター GParted をたちあげて、はじめのパーティションを /boot、2番め(大部分)を /、そして3番めを swap にしたが、これらの操作を GParted で完了したあと、インストールを続行しようとしても、上記の「ルートファイルシステムが定義されていません」にもどってしまう。
 つまり、2枚の写真で示したふたつの状態を行ったり来たり、無限ループしているような状況だった。GParted での設定方法がおかしいのだろううか。BTO パソコンということで、特殊な設定がなされているのだろうか...というような質問を、コンピューターにくわしい複数の友人にしていて、いくらかはお答えもいただいたが、解決にいたることはできず、数か月放置していた。

 ところが最近、Linux Bean にかんする下記の記事で、「Ubuntu や Puppy Linux より簡単に導入できる」という趣旨を読んで、これはためしてみる価値があると直感した。
 http://mogi2fruits.net/blog/os-software/linux/linuxbean/2181/
 さっそく iso ファイルをダウンロードして、ライヴ CDR をこしらえる。CDR の意匠がつくば仕様なのはご愛敬。

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 インストールをこころみたところ、ハードディスク全体にインストールしてよいかときかれただけで、ルートファイルシステムがどうした、パーティションがどうした、という問題はいっさい起きず、あっけないほどすんなりインストールできた。

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 インストール後の設定も、かゆいところに手がとどく、懇切丁寧なウィザードがついている。もう、なにもいうことはない(ただし、下記のスクリーンショットは、Linux Bean に転換したあとの時計合わせをするまえなので、日時は合っていない)。

スクリーンショット - 2014年11月08日 - 05時38分49秒

スクリーンショット - 2014年11月08日 - 05時41分08秒

スクリーンショット - 2014年11月08日 - 05時45分32秒

 ネット接続もうまくゆき、Opera ブラウザーも快適に使えている。

スクリーンショット - 2014年11月10日 - 21時05分53秒

 べつの Linux 機で使いなれた、Libre Office をダウンロードして使うことにした。

スクリーンショット - 2014年11月10日 - 20時50分16秒

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 もうひとつ、最近の「ちいさなしあわせ」として、持病の気管支ぜんそくの定期受診で、検査の際、「肺年齢20歳」という、ぜんそく患者としてはおおよそありえないような数字(自己ベスト)をたたき出したことが特筆にあたいする。しかし、肺年齢はなん歳がピークなのだろうか? 20歳? 18歳?

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 測定機械のコメントで、「肺疾患の可能性は低いです」とさえ書いてあって、わらってしまった。いえいえ、わたしは気管支ぜんそくの患者です(笑)。
 昨夜からつくばに前泊して、1限、朝8時40分から、総合科目(輪講科目)「言語の万華鏡II」を1回だけ担当する。
 おもしろかったのは、開始前、水曜1限の授業を担当なさっている先生が教室に入ってこられたことだ。わたしが「きょうは全学的に月曜の授業ですね」と申しあげると、あわてて引きかえされた。この程度のかんちがいは、むしろわたしにありがちなものなので、指摘するのもはずかしいくらいだ。
 1限を担当したのは2年ぶりで、前泊してもなお、ねむ気とだるさで、本調子ではない。三方から教卓をかこむ、200席の大きな階段教室で授業をするのはほぼ1年ぶりだ。しかしなんとか、フランス語の語彙意味論についてお話しし、研究室にもどってくる。
 研究室からのながめは、ますます紅葉が深まり、見ごろといってよい。

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 昼過ぎまで研究室で雑務をかたづけ、帰途につく。学内の紅葉も、見るのがここちよい。

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 世間では3連休最終日だが、非常勤出講先の白百合女子大学が祝日返上設定なので、わたしはいつもどおりに出講し、2限、3限の授業をつとめる。
 出席している学生はすくなく、2限(3~4年の選択講義科目)は7割くらい、3限(2年必修科目)は半分くらい。
 そういえば、この連休に、もっとも多くの大学で学園祭を挙行している(わたしの本務校の筑波大学もそうだ)ので、インカレサークルにはいっているひとは、きっと、他大学の学園祭に協力するために出はらっているのだろう。

 きょう、11月3日は、わたしども夫婦の結婚記念日でもある。
 結婚したときは、「祝日なら結婚記念日はゆっくりできるし、思いだすこともできるだろうから」というような理由でこの日にしたと記憶しているが、いまでは大学をめぐる情勢は大きく変化し、文科省方面からつつかれて、授業回数に神経質になってきているので、祝日返上もありふれたことになってしまった。

 わたしは27歳のときに結婚し、いまは46歳だから(...と、引き算をしなければ自分でもわからないのだが)きょうで19周年ということになる。
 まいとし思うことだが、わたしのようにひねくれた変わり者の相手を、ながねんつとめてくれている妻には、ただただ感謝あるのみだ。
 恒例により、近所のしにせの洋菓子店で、生クリームのデコレーションを買いもとめ、夕食後に妻とこどもたちといっしょにたべた。

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