日 録

 はやいもので、10月もきょうまでだ。
 朝晩、すこし雨がふったが、傘をさす必要はない程度で、だいたいは寒々しい曇りだった。まさにフランス語でいう «le temps de Toussaint»(万聖節の天気)。

 半年に1度の恒例で、つくばのフランス料理店 «シェ・レノン» で昼食。
 たとえば «シェ・ピエール» などという名まえの美容室をみると、わたしは関西人の「地」が出て、「ほんまにそこにピエールはおるんかい!?」とつっこみを入れたくなるものだが、«シェ・レノン» の «レノン» については、店主のお子さんたちのお名まえの一部をつないで作った名まえだそうで、なかなかしゃれていると思う。
 この店は、いまでは昼食のときでさえ予約だけで満席になるという、たいへんな人気店になった。

 そのようになるには、いうまでもないことだが、料理がおいしいことが第一だ。
 たとえば前菜のテリーヌやキャロット・ラペも、ふつうのテリーヌやふつうのキャロット・ラペとはちがう、絶妙な味わいがある。素材のよさと調理のたくみさの両面から組みあげなければ、こんな味は出せないだろう。

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 そして、まえにも言及したが、この店のクスクスは、本場チュニスの名店 «Dar Es-Saraya» にも匹敵するおいしさだ。
 クスクスにはいっているメルゲーズは自家製だそうだ。

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 いつもながら、デザートもおいしい。

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 食事のあとは大学にゆく。
 といっても、きょうは学園祭の前日で全学的に休講なので、研究棟は閑散としている。わたしも、すこし手もとにあった雑用をかたづけただけ。
 学内も、ようやく紅葉が進んできた。この時季は、キャンパスの景観も3割増しの価値がある。

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 ただし、きょうはあまり天気がよくなかったので、よい写真がとれなかった。以下はきのうとった写真。

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 最後の写真は、わたしの研究室からのながめだ。

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 25日から26日にかけてひらかれた日本フランス語フランス文学会秋季大会のため、広島大学に出張してきた。研究発表もしてきた。
 http://www.sjllf.org/taikai/?action=common_download_main&upload_id=492
 広島大学はかつては広島市内にあったが、いまは大半の部局が郊外移転し、東広島市(町村合併前の名まえでいう「西条市」)にある。
 http://www.hiroshima-u.ac.jp/law/koutu/
 広島市内から広島大学までは、広島駅から西条駅まで在来線で30分少々、西条駅から広島大学まで地元のバスで20分くらい、または広島の中心街からJRの高速バス「グリーンフェニックス」で広島大学まで1時間(!)ということで、東京とつくばのあいだに匹敵するほどの距離感だ。
 広島には何度かおとずれたことがあるので、もう広島市内には行かないことにして、はじめから西条に宿をとった。

 三原で新幹線から在来線にのりかえるのが時間的に不便だったので、手前の福山でのりかえて西条にむかう。
 途中、尾道をとおる。尾道は、おさないころ、祖母につれられて今治に往還するとき、瀬戸内海をわたる連絡船にのった思い出のある場所だ。尾道大橋で向島とつながっており、1まいめの写真の右半分の奥、本州側の海岸が弯曲して、海峡をとりまいている。

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 手前に奥に島影がおりかさなり、水平線がみえない。瀬戸内海の典型的な景観だ。

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 広島大学のもより駅、西条は改築中だが、実際にはほとんど完成していた。

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 西条のまちなかはひろびろとしていて、街路樹がすでに色づいていた。東京より紅葉が早い。

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 とまったホテルの部屋。広くて快適だった。

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 西条駅から広島大学まで、バスで20分くらいだが、かなり山をのぼったところにあり、時間のわりに距離は長いように感じる。
 郊外移転してきた大学なので、たいへんひろく、筑波大学を彷彿させるものがある。ただし、開発年代が新しいので、40年ものの筑波大学のようにぼろぼろではない(笑)。

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 心理学の学会も同日開催されており、学内では両方の学会参加者が行きあうようだった。

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 美しいキャンパスなので、しごとをわすれていつまでも散歩していたくなる。

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 わたしの発表する語学分科会は、25日の17時30分からというおそい時間で、会場は閑散としていた。
 語学分科会の発表者はわたしひとりだけ。秋季大会でも、以前は2~3人は発表者がいたので、このようなことはたいへんめずらしい。いよいよこの業界も閑古鳥がなくようになった。
 時間設定、発表者数という悪条件がかさなり、分科会には十数人しか来場者がいなかったが、そのなかには文学がご専門の知り合いも数人来てくださっていた。
 もっとも、来場者が10人であろうが100人であろうが、「全国学会で発表した」という事実は変わらない。

 西条は銘醸地として知られ、地元の店でも日本酒がきそいあうように売られていた。
 写真の掲示にみえる「西条酒造王国」という揮毫は池田勇人元首相によるものらしい(池田勇人自身も、竹原のつくり酒屋に生まれたそうだ)。

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 しかし、今回は健康的観点から、酒をのんだり、買ったりすることを禁欲した。
 かわりに、発表をおえた夜、西条岡町にある≪おこのみたまたま≫で、広島風のお好み焼きをたべた。
 さすが、お好み焼きの本場とあって、とてもおいしかった。山もりのキャベツを蒸し焼きにしたのがはいっているので、健康的でもあると思っておく(笑)。

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 パソコンをたずさえていたので、かえりの新幹線ではしごとをするつもりだったが、変に疲れがたまってしまったので、ほとんど寝ていた。

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 もみじまんじゅうをこどもたちへのおみやげにした。

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 しぐれのような、つめたい雨がふる。東京の最高気温は15.5度。
 暑がりのわたしも、さすがに、長そでシャツのうえにジャケットをはおって出かける。

 中央大学にゲストスピーカーでよばれて行く。
 多摩センターからモノレールにのると、いつもながら、空中散歩のようでここちよい。ただし、きょうは天気がわるいので、眺望があまりよくない。

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 中央大学の構内はすでにかなり紅葉がすすんでいた。

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 ゲストスピーカーとしては、好き勝手なことをお話ししたが、なんとかつとめた。
 おわったあと、学生のみなさんと学内でコーヒーをのむ。
 さらに、17時ころから多摩センターにくりだし、シチーリアのワインをのんでかえってきた。とてもいい気分。

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 今年度も、中央大学仏文科の4年生が、筑波の大学院を受験してくれそうだ。このようなことがあると、ゲストスピーカーとして行った甲斐があるというものだ。
 爽快な秋晴れ。
 フランス語学会例会と、同時開催の研究会のため、早稲田大学へ。
 もうさすがに半そでの服をきたひとはすくないが、わたしはあいかわらず半そでのままだ。
 しかし、日中はけっこう気温があがったようで、高田馬場駅前では住友不動産がうちわをくばっていた。
 学会・研究会の会場は文学部(戸山キャンパス)のなかでひときわ高い33号館の16階(最上階)の会議室で、いつもながら、たいへんながめがよい。
 もっとも、こんなことで「気分がいい」といっているのは、いささか mégalomanie の傾向があるかもしれない。

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 発表はいずれもたいへん興味ぶかいものだった。
 東京外国語大学の秋廣さんの発表で、話しことばのコーパスを知った。後日ためしてみたい。

 ESLO2(オルレアン大学で作られた話しことばコーパス)
 http://eslo.huma-num.fr/
 東京外国語大学フランス語話し言葉コーパス
 http://cblle.tufs.ac.jp/tag/fr/index.php

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 中国の天津のおみやげで、ピーナッツとごまのお菓子をいただいた。
 香り高く、さくさくとした食感がここちよい。娘がいみじくも、「りすさんになった気分」といっていた。
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 時流に1年ほどおくれて、Google Nexus 7 (32GB) を買いました。
 練習用のつもりで、別の Android タブレットをこの夏からすこしづつ使っていたのですが、だんだんわかってきたような気になったので、もう少し上等のものを使ってみようと思った次第です。
 しかし、さすがに(わたしにとっては)「上等」だけあって、いろいろ迷います。Andoroid ならだいたいは共通性があるだろうと思っていたのですが、OS のヴァージョンも違うし、Google Nexus 独特の部分もあるようで、使いなれるまではしばらくかかりそうです。
 iPad にしないのか、といわれそうですが、わたしは Apple 社製品はひとつも使ったことがない(キリッ!(笑))ので、今後も手を出すことはないと思います。
 一昨日(火曜)、大学院の授業と研究会をかね、わたしの研究室で討議していたら、ドアにノックが。あけてみると、おどろいたことに、わたしが留学時代にパリでお世話になったT先生が来ておられました!
 その日はしごとがおわったあと、夕刻にすこし相談した結果、きょう(木曜)、べつの大学院の授業で院生のみなさんが集まるついでがあるので、そのあとにみなさんといっしょにT先生をかこんで酒宴を張ることとしました。

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 大学近隣の酒肆≪きく乃家≫できりたんぽ鍋をたべ、芋焼酎≪七夕≫をのんできました。プリミティヴなしあわせです。
 遠くにある台風の影響か、日中は30度にとどく暑さになる。
 20年以上前からの友人でもある塩田さんを筑波にまねき、講演会を開催する。

 ■講 師
 塩田 明子(慶應義塾大学非常勤講師)

 ■題 目
 「時制と語りの種類-話し言葉におけるエピソード-」
 モダリティ研究にとって重要な、時制・時間と発話の連続性の関係を実例によって示し、理論化を試みる。

 ■日 時
 2014年10月3日(金)15時〜17時

 ■場 所
 筑波大学第1エリア1C302会議室

 講演会には、フランス語学はいうにおよばず、英語学、日本語学の大学院生のほか、かつて学会発表のときに塩田さんに司会をしてもらったことがあるという研究員のかたも参会してくださった。
 討議も活溌で、たいへん実質的な会になった。おもわず、「講演会」といわず「研究会」と言いまちがえてしまったほどだ。

 おわったあと、みなさんとともに塩田さんをかこんで懇親会。大学近隣の≪百香亭≫にゆき、黒酢のかかった大きな酢豚(など)をたべながら、ビールをのんできた。

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 筑波大学では10月1日から新学期だが、さっそく、雑務由来のストレスで限界に近い状態だ。
 しかし、きのうときょう、東奔西走して、かずある心配ごとの7割くらいは解決した(きのうのつぶやきから進捗度合いがあがっていないじゃないか、といわれそうだが、きょう、あらたに発生した問題もあったので、残念ながら一進一退だ)。
 まあしかし、この程度で上々というべきだろう。過度の期待をしないことが精神衛生上重要かと思う。

 『大杉栄全集』第2巻ができあがり、献本がとどいた。
 いまどきこんな全集が出ること自体、ほとんど奇蹟のように思う。

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 わたしも巻末の「解題」の一部に協力させていただき、附録の「月報」に「ジョルジュ・パラントをめぐって」と題して書かせていただいた。
 おまえが大杉栄となんの関係があるのかといわれそうなので、いちおう弁明しておくと、ジョルジュ・パラントの著作をはじめて日本語に翻訳し、日本に紹介したのが大杉栄だったからだ。

 じつは、もう少しまえにべつの献本もいただいていた。
 わたしも個人的に存じ上げている大阪教育大学の田中ひかるさん、明治大学の飛矢崎雅也さん(ちなみに、このおふたりは、上記の『大杉栄全集』でも編集委員をつとめておられる)らが中心になって、昨秋開催されたシンポジウムをもとにした論文集が最近出版された。

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 日本での議論を外国にも伝えられるよう、すべての論文の英語訳も1冊のなかにおさめられている。
 シンポジウムから1年もたたずにこのような形で出版するのは、これまた奇蹟的なことだ。
 『大杉栄全集』も奇蹟的と思ったが、実際にはもちろん、奇蹟が空からふってくるわけはなく、必死の思いで実現にこぎつけているひとたちがいるわけだ。

 わたしも研究をどんどん公刊したいという気もちはあるのだが、なかなか心身の馬力がついてこない実情だ。
 田中さんたちにあやかって、わたしもそのような力をもちたいものだ。
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