日 録

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 きょう(土曜)と明日(日曜)は、推薦入試の業務があり、筑波にとまりこみ。
 大多数の受験生が利用すると思われる地元のバス会社がこの週末ストライキをするという情報が流れてきて、たいへんあわてたが、労使交渉によりストライキは回避されたとのことで、ほっとした。

 つくば駅周辺では、まいとし恒例の≪つくば光の森≫がことしも点灯された。
 青の発光ダイオードがさむざむしい色だが、じっさい、つくばは寒いので、よく似合っていて、わたしはこれがきらいではない。

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 先週末、みょうに上機嫌になって、多幸感 (euphorie) につつまれているようだったが、1週間、あれこれの雑務にまみれているうちに、通常レヴェルまでさがってきた。
 しかし低空飛行というほどではなく、いまもなお、調子はわるくない。こればかりは統禦できないので、調子がいいことはありがたいことだ。

 1週間の苦労のうち、ここに書いてもさしつかえのない話だけをすると、人文学類の教育課程委員としてのしごとで、来年度の開設授業科目一覧の編集作業をしていた。
 昨秋から導入された、筑波大学教育課程編成支援システム(略称KDB、https://kdb.tsukuba.ac.jp に委員はログインして編集をする。ログインせずに使うと、今年度の科目一覧として一般公開された情報が閲覧できる)というオンラインシステムを使うのだが、これが名まえに反して、「支援」どころか正反対に、障壁になっている。
 昨秋は開発が未熟のまま導入されたので、問題百出だった。ことしはさすがにそれよりましだが、順調というわけではない。
 いちばんの問題は、ある程度編集がすすんだ状態で確認をするため、編集の現段階で来年度の科目一覧がどうなっているかをみようとすると、たいへん動作が重いということだ。
 まず、画面上で見ようとすると、人文学類開設の六百数十科目のうち、最初の50科目しか同時に表示できず、その後は画面推移しないといけないのだが、この推移ボタンがまったく無反応(以下でのべるダウンロードの場合とちがい、ブラウザーがホストからの情報を待機する状態にさえならない)。
 一方、人文学類の科目一覧(の原稿)をひととおりダウンロードするという方法もあるのだが、それを何十回となく試したうち、いつも長時間の待機状態をみせられるばかりで、ダウンロードに成功したことがたったの1回しかない(そのときは、夕食のあいだ40分ほど放置していたら、ようやくCSVファイルがダウンロードできた。ダウンロードの様式として、エクセル形式のファイルも選択できるのだが、CSVより容量が大きいので、そちらをえらんでいたら無理だっただろう)。
 3~4日ほどの試行錯誤のすえ、一昨日ようやく思いついた新たな方法は、自分の担当範囲(教育課程委員として編成を担当する範囲)の科目名だけがヒットするいくつかのキーワードで検索して、2ページ目以降に画面推移することなく見られる科目数にしぼり込んでから、その画面で確認するというものだ。これを思いつかなければ、偶然1度成功したダウンロード以外の確認はできなかったに違いない。
 なにやら、いうことをきかない機械と人間との「化かしあい」のような状況で、だましだまし、かろうじて責めをふさいでいるのだが、こういうときにたまるストレスを「テクノストレス」というのだろう。

 ほんとうは、こんなところに、だれにもとどかない文句を書くといった非生産的なことをせずに、KDBに実装されている≪Redmine≫に質問や報告を書けば、管理者がわにも直接伝わるのだが、そこに書きに行くのも微妙にめんどうで、しかも自分の担当するしごとは(だましだましにせよ)いちおうこなせているので、わざわざ言いたくない。
 わたしより、もっとひろく編成状況を見わたすべきたちばのひとたちは、おなじ症状で困っているかもしれないが、それを横からわたしが言いたてるよりも、ほんとうに困っているひとが相談したほうが切実で、解決にむけての原動力になるだろう。
 こんなことを考えるわたしはつくづく、組織という観点からは無責任なニンゲンだと思う。担当しているしごとはひととおりしているはずだが、全体のしくみがうまくまわるように、という視点はほとんどもっていない。しかも、もしそのようなことをたずねられたら、「わたしは鼻の先の課題をかたづけるだけでせいいっぱいで、とても全体のことを考える余力などない」というもっともらしい言いわけまで用意している(笑)。
 「もし、ほんとに、夜おそくまでやらなきゃ、仕事がたまっていくんなら、ドンドンためておけ。仕事がたまってこまるのは、中尉か、偉いやつだ。おまえがこまる必要はない。たまりすぎて、どうにもならなきゃ、お偉い連中が考える。」(田中小実昌『自動巻き時計の一日』河出文庫、p.125より)

 きのう(土曜)は、卒業生3人(そのうちひとりは、修士をおえて休学中で、フランス大使館領事部の固定的外註先の法人に就職がきまった)とシチーリアの赤ワインをのんできて、たのしい思いをした。それもあって、精神の平衡をたもっているのかもしれない。写真もとったが、店のひとにとってもらった人物写真しかないで、ここには貼りつけられない。

 きょう(日曜)は、ほとんど終日閉居して、12月14日の関西大学での共同での研究発表の準備をしていた。それ以外のこともいくらかしたが、研究関連にはかわりない。雑務でいそがしいときは、いつも研究が、救いをもとめてまぎれこむ場になっている。
 乾燥した晴天。8時半ころに自宅を出て、新お茶の水へ。

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 明治大学リバティータワー。大学とは思えないほど、ぜいたくな建物だ。

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 ここでひらかれたシンポジウムで、知り合いの田中ひかるさん、飛矢崎雅也さんが発表なさるので、きいてきた。
 http://wjunya.blog39.fc2.com/blog-entry-270.html
 夕方、さいごまでゆっくりきければよかったが、わたし自身の仕事もたまっているので、午前中のみ出席し、田中さん、飛矢崎さんと、栗原康さんの発表をきいていた。いずれもたいへん興味ぶかかった。
 田中さんとは2006年の秋以来、ひさしぶりにお目にかかった。発表者、オーガナイザーとしてお忙しそうにしておられたが、少しことばをかわすことができた。
 田中さんの発表は、こんにち世界ぢゅうにひろがりつつある「グローバル・アナーキズム」という全体テーマに即しながらも、1920年代にも国民国家のわくを超えた交流が見られたこと、それがあまり研究されていないことを摘示するものであった。
 栗原さん、飛矢崎さんは大杉栄の研究者だ(大杉栄の研究者が複数集まるだけでも奇跡的ではなかろうか)。
 飛矢崎さんの発表は、6年前、論壇をにぎわせた赤木智弘氏の言説をめぐって、その思想よりも心情を重視し、大杉栄のいう「生の拡充」、「美は乱調にあり」を対置した。そして、「生の拡充」を具現化した比較的最近の事例として、「素人の乱」をあげた。
 じつは飛矢崎さんの肉声をきくのははじめてで、たいへんちからづよい話しかたをなさることにおどろいた。こういってはなんだが、わたしなどよりよほど教員らしい(笑)。
 栗原さんの発表は、大杉栄の米騒動論から出発してこんにちのニホンの状況におよぶものであったが、「社会」なるものに対する徹底して否定的な見かた(それはアナーキズム方面でもかならずしも共有されていない)が、わたしが関心をいだいているジョルジュ・パラントの思想ともあい通じるものであるように思った。
 今秋は紅葉がおそかったが、つくばではかなり進んできた。

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 最後の写真は、わたしの研究室の窓からのながめだ。

 なかなかこころの余裕がない。今週はきょうまで3日連続で、夕方から夜にかけて推薦入試の準備作業をした。とくに昨夜は自宅には帰らないで、つくばに泊まった。

 そんななかでも、教室や学内で学生たちと接すると、こころが救われるような思いだ。
 筑波大学の学生歌に「頽廃の都塵を払い」という一節がある。かつてはそれを、東京教育大学の筑波移転のときの騒動について、もっぱら移転賛成派のたちばから言及した政治的なくだりだ思って、いやな気分になったものだが、いま、教員のたちばからみると、筑波には文字どおり「都塵を払」って純化した学生だけがいるような印象をうける。
 そのことは、うらをかえせば戦略性の稀薄なひとが多いということもであるが、いかにも戦略性が鼻につくよりは、はるかによい。
 健康のための歯止めとして、寒い季節しか外でラーメンをたべないことにしているのだが、今秋は11月1日に博多で禁を解いたので、きょうは嬉嬉として、新宿の≪ほりうち≫で、ざるラーメンを昼食にたべる。

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 おいしくたべたつもりが、これが失敗で、ただでさえ(物理的にも、体調的にも、心理的にも)重いからだが、ますます重くなる。
 これはいかんと思い、高田馬場駅から早稲田まで、地下鉄やバスにはのらず、腹ごなしに歩くことにする。早稲田大学の校舎を左右に見る街区をとおりすぎ、鶴巻南公園にいたる。グーグル地図のルート計測機能によると、これで2.3km歩いたことになる。

Google地図より

 鶴巻南公園は都会のオアシスで、タクシー運転手や、近隣で仕事をしているひとたちの格好の休憩場所になっている。きょうは快晴で、空気がさわやかだ。

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 公園でしばらく時間調整をしてから、おなじ公園に面した早美出版社にゆき、出版の打ち合わせ。当初、わたしが Microsoft Word と Microsoft Publisher で作ったPDFを版下としてそのまま印刷してもらう方式を考えていたが、まったくのサーヴィスで、出版社がわで版下を作っていただけることになった。きょうは部分的な試作版を拝見したが、さすがにとてもきれいだった。たいへんありがたいことだ。
 50分ほど相談して帰途につく。昼食後の徒歩が奏効したか、きのうからずっとわるかった体調が、夕方には回復した。自彊不足はあきまへんな、という当然の結論。
 こよみの「立冬」。その名のとおり寒くなり、しぐれが降る。

 筑波では先週末が学園祭(ことしから二期制になったので、学園祭の時期もおそくなった)で、その前後もふくめて休講だったので、ちょっとした水入りだったが、少し休んだだけでも、すでに頭が朦朧としてしまい、社会復帰困難な状態だ。つくづく、徒食者体質だと思う。
 休んだといっても、原稿の手なおしなどはしていたのだが、時間のきまった仕事ではないので、やはり、徒食者的な生活になるわけだ。

 きょう出勤すると、バンヴェニストの Problèmes de linguistique générale の第2巻にあたる訳書『言葉と主体』(岩波書店)の献本が、訳者のひとりの川島浩一郎くんから送られてきていた。
 第1巻の訳書がみすず書房から出てから30年もたっていることだけは、いかにも遅く、残念なことだが、ともあれ、これによって長年の欠落がおぎなわれ、バンヴェニストの豊饒な業績がニホンでもひろく知られるようになるという点で、たいへん有意義な仕事だと思う。

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 きょうは授業を3こまつとめ、合い間にたまっていた雑用もかたづけたが、それだけで疲労困憊した。いつものちょうしではない。
 パソコンをたずさえてゆき、往復の電車のなかで仕事をするつもりだったが、帰りは疲れて寝てしまった。帰宅後、夕食、入浴をすませ、やっと、これを書いたところだが、きょうは各方面に不義理をおわびしつつ(川島くんにさえ、まだお礼を書いていない!)、もう就床させていたただく。現在22時58分。
 11月が好きだ。きのうのように、どんよりと曇って冷涼な「万聖節の天気 temps de Toussaint」も、きょうのように、ニホンの11月を代表するような(それでいて、ヨーロッパの秋のような)乾燥した晴天も好きだ。

 きょうはわたしどもの結婚記念日。1995年のきょう結婚したので、18周年だ。
 これだけ年月をかさねると、正直いって、まいとし記念しようという気もちは薄れてくるが、ケーキを買ってくることが恒例化していて、こどもたちも楽しみにしているので、ことしも例年なみに、夕刻、近所のしにせの洋菓子店で生クリームのデコレーションを買ってきた。

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 まいとし思うことだが、わたしのような変わり者のあいてを長年つとめてくれるだけでも、妻には感謝しなければならない。

 * * * * *

 9月おわりから10月はじめにフランスに出張したとき、アルジェリアのライ歌手 Cheb Khaled が2012年に≪C'est la vie≫というあたらしいアルバムを出していたことを、おそまきながら知った。
 そのなかでも、いちばん好きな曲が、≪Andalucia≫。はずかしながら、最近ほとんどいつもこれが頭のなかでまわっていて、ときによっては、くちずさんでいる。

 きのうからきょうにかけて、2011年12月以来、ほぼ2年ぶりで、福岡大学に出張してきた。
 国内ではなるべく飛行機にのりたくないので、新横浜から新幹線「のぞみ」に乗る。博多までは5時間弱。
 往路は「1番E席」(いちばんいい席)。じっさい、この席は車端部で広く、パソコンの電源も足もとではなく比較的使いやすい位置にあり、とてもよい席だ。

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 車内では、12月にするはずの、べつの研究発表の準備段階の作業などをした。

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 博多駅から地下鉄空港線にのり、天神へ。

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 福大前までゆく七隈線にのりかえるには、天神で改札の外にでて、天神南まで行かなければならないが、このとき、1枚のきっぷで改札外に2時間まで出ていてよいという太っ腹で、ショッピングや食事などができる。しかし今回は、新横浜でついつい崎陽軒のシウマイを買ってしまい、新幹線の車内で食べたため、あまり空腹を感じなかったので、昼食はとらずに天神南へ。

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 天神南のパサージュは、すでにクリスマスのよそおいがほどこされていた。

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 招いてくれた福岡大学の川島くんと大学の正門で13時30分に待ちあわせて、図書館・大学院棟へ。一昨年来たときはこの棟はなかった。まあたらしく、しゃれた校舎だ。

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 館内はひろびろとしていて、ながめもよい。

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 この部屋(大学院セミナー室)が会場だった。

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 前回は「ジェロンディフと現在分詞について」と題してお話ししたが、今回はその続篇のような「主語不一致ジェロンディフについて」と題して話した。
 思えば、ジェロンディフの研究にかなりの精力をつぎこんできた2年間だった。
 わたしをふくめて3人が発表し、18時45分ころまで議論をする。
 19時ころに福岡大学を出発、天神南へ。
 天神と中洲のあいだあたりにある≪海浜館≫という酒肆でビール、焼酎などをのみながら話す。

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 23時すぎに店のまえで解散し、わたしは博多駅近くのホテルまで30分ほどかけて歩いた。たのしい夜だった。

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 きょうは10時すぎに、朝昼を兼ねた食事に、とんこつラーメンを食べて、家族へのおみやげを買って、正午すぎの新幹線で帰途についた。

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 明太子は在来型のほか、「炙り明太子」という、たたきのような香ばしさのあるものも売りだされていたので、買ってかえる。

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 そして辛子高菜。福岡にはおいしいものが多い。

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