日 録

 秋分。くもりときどき晴れ。すずしくなって、ありがたい。きょうの東京の最高気温は24.3度。

 非常勤出講先の白百合女子大が祝日返上なので、後期はじめて出講する。
 往路、例外的に下北沢によって、買い物をするとともに、≪キッチン南海≫でしょうが焼きの昼食をたべる。

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 大学の構内は、彼岸花がよく咲いていた。

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 後期からあたらしい教科書をつかう必修の授業では、15人中3人しか後期の教科書をもってきていなかった(苦笑)。
 しかたがないので、前期試験を返却してコメントをくわえ、後期の概要と次回以降の進めかたを話しておわりにする。
 講義科目のほうは、いつもの調子でよいので、なんとか時間までつとめることができた。
 しかしそのいつもの調子さえ、休み明けにはつかみづらく、自分はほんとうに教員かと思うほどだ。

 おわったあとはいつもどおり、永山で京王から小田急にのりかえ、新百合ヶ丘までかえってくる。

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 ところで、台風20号が関東にむかってきているという。わたしがフランス出張に出発する日、直撃にならないければよいが...
 乾燥した秋晴れだが、昼間は暑く、東京の最高気温は29.9度。

 9月4日の日録で言及した、小柳優衣さんの個展に行ってきた。
 会期は7日からだったので、もうすこし早くに行ければよかったが、小柳さんが来場なさるのが週末だけで、先週までの週末はいずれもわたしのほうが都合がわるかった。

 正午からひらくことになっており、数分まえに≪ギャラリー上原≫についたが、時間をまたずにただちに開けてくださった。

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 今回はいつもの銅版画にくわえて、油彩画の出展がけっこうあり、新作はいずれもますますあざやかで華やかな色あいを帯び、こころも歌いだすような作品だった。
 今回の個展の題名にもなっている≪New Melody≫のほか、≪raimbow motion 50≫がとくに好きになった。

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 小柳さんと1年ぶりに再会し、かねてより相談したいこともあったので、しばらく話した。
 わたしは手ぶらで行ったのに、こちらがおみやげをいただいてしまい、恐縮の至りだ(このようなところ、わたしはいまだに社会的な巧緻性に欠ける)。

 ≪ギャラリー上原≫を辞したあと、いっしょに個展を見にいってくださった「えるたそ~」さんとともに、代々木上原駅をへだてて反対がわの商店街にある≪Say Cheese!≫にゆき、昼食にラザーニアをたべる。

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 まったくなじみのない六本木。べつのところへゆくときに、ただとおりすぎることはあるが、六本木の駅でおりたのは20年ぶりくらいだ。「紅灯のちまた」などという風流なものではなく、欲望ぎらぎらの街区だ。
 2007年まで筑波に留学してきていたロドリゲスくんが、いま、しごとで6年ぶりにニホンにきているので、会ってきた。六本木にきたのは、かれがとまっているホテルが六本木にあったからだ。
 ロドリゲスくんにとってはひさしぶりのニホンなので、ニホン的なところということで、≪和心庭 一蔵≫という酒肆にゆき、ニホン酒をのみながら話した。

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 会えないあいだに、いろいろな変転はあったが、おたがい、それにもかかわらず生きていることだけでもよいことだと思う。再会できたことは、ますますよろこばしいことだ。と、刹那的なまちで、刹那的なことをおもった。
 くもりで、涼しい。
 大学院生と北千住のカフェでまちあわせて、研究の相談を受ける(休暇中、東京やその近郊にすむ院生と会うときは、わざわざ筑波まで行かないで、おたがいに便利な都内で会うことにしている)。
 ところで、北千住は、≪ひるざけの聖地≫でもある。はなしがおわったあと、朝10時から営業している偉大な酒肆、≪幸楽≫にゆき、ビールやハイボール、電気ブランをのむ。
 どじょうのから揚げが、それだけのためにまた来たいと思えるほど絶品だった。

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 7月11日の日録で暫定版プログラムが送られてきたことに言及した、アンジェでの学会の正式プログラムが送られてきた。
 フランスらしい瀟洒なデザインで、主催者がわが「拡散歓迎」(« N'hésitez pas à diffuser ce programme autour de vous »)といっているので、画像として貼りつけておく。

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 わたしは2枚めの右上方、2日めの午前後半に出番がある。わたしの直後に発表する大久保朝憲くん(関西大学教授)は、わたしとはパリ留学時代以来の友人だ。かれもわたしとおなじように応募し採択されていたことはあとから知った。
 ただし、大久保くんはわたしとちがって、アンジェには何度か行ったことがあり、町のことも大学のこともよく知っているときいたので、こころづよい。
 たのしみだが、準備をしっかりしないといけない。いまの準備状況は60%くらいかなあ。

 会場校にはフランス語教育の研究者が多いためか、研究発表の半数はフランス語教育にかんするもの、あとの半分を言語学・文学・文化研究でわけあっている印象だ。
 しかし、全体としては、フランスらしい多様性が感じられ、たのしみな学会だ。

 ところで、このプログラム、「拡散歓迎」というわりには、きょう現在、主催者がわのウェブサイトにはまだ掲出されておらず、「6月15日ころから公開」と書かれたままだ。「わてほんまによう言わんわ」(Ⓒ笠置シヅ子)といいたくなる。

 * * * * *

 昨日未明、2020年夏季オリンピックが東京で開催することがきまったが、この招致には「非常時になにを浮かれているか」という思いだ。
 目のまえにあるこれだけはっきりした問題を根本的に解決しないうちに外から客をまねくことを考えるのは、日本代表団が自負してやまない「おもてなし」の精神に真っ向から反するものだ。
 みずから福島原発を話題にした安倍首相の発言は、「影響を港湾内で完全にブロックしている」など明白な虚偽をふくみ(東京電力さえも、港湾と外洋で水が出入りしていることをみとめている)、ただ「安全」をくりかえし呼号すれば事実になるかのような空疎なものだった。
 これらの日本代表団の発言は国際的に理解されるはずがない、票を遠ざけた、とわたしは安心して土曜日はねむりについたが、昨日(日曜日)起きてみると東京にきまっていたので、IOC委員の目は節穴かと思ったものだ。
 しかし、IOCは正義の代弁者でもなんでもないし、しょせん利権の相互調整だから、このようなことになってしまうのだろう。古屋雄一郎さんのサイト( http://www.theatrum-mundi.net/ )の昨日づけ巻頭言に共感したので一部を引用する:
 『AKIRA』の舞台は2019年の東京です。1988年に第三次世界大戦が勃発し、東京は核攻撃により壊滅。戦後、東京湾に〈ネオ東京〉と呼ばれる新たな巨大都市が生まれて復興しますが、その熱が冷めつつある2019年の〈ネオ東京〉は、翌年の東京オリンピックを控えてスタジアム建設工事の真っ最中。その建築現場の地下に眠るのが〈アキラ〉です。
 2020年に東京でオリンピックが開催されるのを大友克洋が予言したのが今から三十年近く前の1980年代半ばだったということにまず驚かされます。しかもオリンピック誘致の目的が東京の〈復興〉のためであるという共通点には戦慄さえ覚えます。『AKIRA』では利権のことしか考えない政治家たちや〈復興〉の熱が冷めて鬱憤がたまった民衆をあざ笑うかのように、〈神の力=アキラ〉が目覚めてしまう。
 産経新聞によるとブエノスアイレスで行われた五輪誘致の最終プレゼンテーションで安倍晋三首相はまずこう語りました。

 フクシマについてお案じの向きには、私から保証をいたします。状況は統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも及ぼすことはありません。
 これほどおおっぴらに嘘をつける剛胆さにはむしろ感心させられます。『AKIRA』でさんざん戯画化された政治屋の典型です。オリンピックは〈経済成長の起爆剤〉になると首相は手放しで喜び、マスコミも嬉々としてそれを伝える。彼らの視野には目先の金しかない。そんな人々をせせら笑うように、2011年3月に福島で〈アキラ〉は目覚めてしまったのではなかったか。黯澹たる気持を払拭できません。


 
 かねてより応援している銅版画家、小柳優衣さんの個展が7日からひらかれます。わたしもたのしみに見にゆくつもりです。

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小柳 優衣 展 「New Melody」

期間:2013年9月7日(土)~22日(日)水曜休廊
時間:12:00-19:00 (最終日は17:00まで)
場所:ギャラリー上原

詳細情報:
http://www.galleryuehara.com/schedule/2013-9-%E5%B0%8F%E6%9F%B3%E5%84%AA%E8%A1%A3-new-melody/
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