日 録

P9210365

P9260403

P9210368

P9210369

P9280404

P9280405

P9280406

P9280407

P9280410


 最近、二十数歳もわたしよりとししたの学生のくちから、「友川かずき」という名まえをきいて、たいそうおどろいた。
 なぜ知っているのかときくと、ことしの5月から6月にかけて、ナインティナインの深夜ラジオ番組≪オールナイトニッポン≫でつよく推されていて、生出演、生演奏もしていたという。まったく想像がおよばないことだった。いま脚光をあびること自体、奇蹟的ではなかろうか。

 ♪トドを殺すな


 わたしの世代なら、初代≪金八先生≫のドラマのなかで、友川かずき本人が出てきて、劇中歌のようにつかわれていた≪トドを殺すな≫がなつかしいだろう。
 そして、≪トドを殺すな≫とならび称されるのが、≪生きてるって言ってみろ≫だ。

 ♪生きてるって言ってみろ


 伏し目がちで、すわったままの演奏。せき込むような、泣き笑いのような声なのに、これだけの迫力がある。内向的でありながら、それでもなお、おしとどめられずにあふれた激情が奔出してくる。
 この特徴を、友川かずきの出身地である、秋田の北方性とつなげる理解はありふれている。もっというと、秋田のなかでも北の、能代のひとだそうで、ほとんど津軽の入り口にあたる。はげしいギターのひきかたが、津軽三味線とあい通じるようにも感じられる、、、というのもありがちな話か。

 しかし、1970年代後半、友川かずきに、やや意外な支持者がいたことを知るひとはすくないのではなかろうか。それは、なんと、羽仁五郎だ。羽仁五郎は、友川かずきの≪生きてるって言ってみろ≫に共鳴するあまり、おなじ題名をおびた書物まで出していた。

P9240799

 ただし、羽仁五郎の『生きてるって言ってみろ』では、題名を借りたことが、とびらの裏にエピグラフのように引用された歌詞から知れるだけで、このなかに友川かずきは直接には出てこない。
 一方、それと近い時期に出たもう1冊の書物、『羽仁五郎の大予言』(この、あえて俗悪ジャーナリズムを自称するかのような題名が、じつはきらいではない(笑))のなかには、友川かずきが出てくる。
 しかしそこでは、淡谷のり子から、「酒をのんでうたうと、声帯が膨張して、そのときだけは声がよく出るけれど、のどを痛める。プロの歌手として歌いつづけたければ、酒をやめなさい」というようなお説教をされていて、しかも、このことについては、羽仁五郎も淡谷のり子に賛同していたので、苦笑してしまったものだ。
 次元がちがう。のどのために禁酒するような、いわば、技術的な顧慮をいっさい無視するほどであるからこそ、友川かずきの歌には気魄があるのではないか。それにくらべるなら、技術論は、どうしても浅薄にならざるを得ない。

 10日ほど間があいてしまった。
 筑波では、来年度からの2期制移行にむけて対応の相談が輻輳しているなど、気ぜわしい日々だ。
 しかも、10月には2本の論文のしめきりが同時にくるので、刻苦勉励している、、、などとわたしがいうと、うそくさいか。

 きょうは晴れときどき雨。きのうまでの、30度を超える暑さではなくなったが、湿度がたいへん高く、しのぎやすくはない。
 かねてよりの予定どおり、岡山大学の金子真さんを筑波にお招きして、講演会( http://palantien.blog137.fc2.com/blog-entry-99.html )を主催した。来聴くださったみなさま、ありがとうございました。

 当初は講演会終了後、大学近隣の酒肆で懇親会をしようともくろんでいたのだが、今回は金子さんのご都合により、懇親会を実施しないこととなった。
 それで今夜の予定が空いたので、帰宅途中に代々木上原の≪ギャラリー上原≫にたちより、もういちど小柳優衣さんの個展をみてきた。
 会期中に会場で制作した作品を追加するなど、展示変えをしたとのことで、それを見たかった。
 Synæstesia(共感覚)。小柳さんの作品をつらぬく主題だと思う。

P9210373

 大学時代に小柳さんの同級生で、いっしょにわたしの授業に出てくださっていた方も、遠くからいらしてくださることになり、ギャラリーで落ちあったあと、いっしょに代々木上原で夕食をとった。
 駅からほどちかい、≪Le Départ≫ というお店を通りかかりに見かけてはいり、コート・デュ・ローヌをのみながらラタトゥイユ、ラザニアなどをたべたが、どれも創意がゆきとどき、たいへんおいしい料理だった。ご主人がすべてひとりで切り盛りしておられることにもおどろいた。
 となりのテーブルのかたがたともお話しし、≪ギャラリー上原≫からも近い場所だったので、小柳さんの個展の宣伝もさせていただいた。たのしい夜になった。

P9210376

 NHK大津の≪おうみ探検隊≫で放映された小柳さんの動画を貼りつけておく。こころざしの高さが伝わってくる。



 9月も中旬にさしかかろうというのに、まだまだ暑く、東京の最高気温は33.1度。
 しごとのかえりみちに、代々木上原にたちより、ギャラリー上原でひらかれている小柳優衣さんの個展、-llllline- にいってきました。

P9100351

P9100354

P9100356

P9100355

 銅版画の新作にも、油彩画にも、小柳さんらしい共感覚 synesthésie 的な世界観が一貫してあらわれていて、たのしく拝見しました。
 月曜の夕方とあって、来場者はいちばん少ないころあいかもしれません(おかげで、小柳さんとゆっくりお話しできる光栄に浴しました)が、それでも3組ほどのかたがたが見にきておられましたし、とちゅうでは取材にまつわる電話もかかってきていました。
 9月1日にも書きましたが、短期間にあちらこちらで活躍しておられ、よろこばしい限りです。

 長かった夏も終わりに近づいたようで、さすがに朝晩は涼しくなってきた。
 とくにきょうは、日中は晴れて真夏のような暑さだったが、夕方、たいへんな雷雨が降り、急激に肌寒いほどになった。
 変則的3期制をとっている(ただし、http://palantien.blog137.fc2.com/blog-entry-87.html に書いたように、この制度も今年度が最後だ)筑波大学では、すでに2学期の平常授業がはじまっているので、きょうもつくばに出勤し、3こまの授業をつとめたほか、いくつかの用件をすませてきた。

 * * * * *

 われわれ研究者が(がんばって)計画・申請し、競争のすえ獲得してくる科学研究費補助金は、研究者がみずから使用する「直接経費」に、研究者が所属する各機関の研究環境をととのえるため(官僚用語では、「補助事業の実施に伴う研究機関の管理等に必要な経費」と書かれている)につかわれる「間接経費」が付帯してくる。
 この間接経費は、大学に召しあげられ(官僚用語では、「研究課題に措置される間接経費については、補助条件に従い、入金後、速やかに筑波大学に譲渡」するものだと書かれている)、どのようにつかわれているのかと思っていたが、筑波大学では先日、間接経費でつくられたという、つぎの写真のようなシールがくばられ、一驚を喫した。

P9060339

 つかいみちに困るほどお金があまってしかたがないならともかく、こんなものをつくってばらまくのは、おおよそ、ふだんから「お金がない」と言いつづけている筑波大学らしくない、 たいへんな無駄づかいで、あきれかえる。
 [2012年10月26日追記:最近知った訂正的情報ですが、このシールは筑波大学が間接経費で制作したわけではなく、所属機関をとわず科研費を受給しているすべての研究者にくばられたそうです。それにしても、あまり有効な(無駄でない)つかい道だとは思いませんね]
 他大学では、間接経費を用いた講演会や研究会を企画しているところもあるようで、率直にいってうらやましく思う。

 * * * * *

 ところで、きょうの夕方の雷雨は、いささか、はげしすぎた。
 東日本大震災の直後をべつにすれば、台風でも大雪でも不通になったことのないつくばエクスプレスが、きょうにかぎっては、落雷の直撃をうけて架線が切れてしまったらしく、全線不通になっていた。長距離通勤は、こういうときに困る。

P9060340

 いつもならすいすいとつくばエクスプレスにのって帰途につくはずのひとたちの、長蛇の行列をたえしのんで、常磐線のふりかえ輸送にまわり、3時間くらい余分に時間をかけて帰宅した。
 常磐線の荒川沖駅にたどりつくころには、雨はほどんどあがり、虹が出ていた。
 (ちなみに、海でもないのに荒川「沖」とはふしぎな地名にみえるかもしれないが、荒川沖のとなりまちに荒川本郷というところがあり、対をなしている。つまり、荒川「沖」は、地理学用語でいう新田集落をさす地名だ。ほかにも、霞ヶ浦周辺には、道上沖、長峰沖など、「沖」のつく地名が多い)

P9060342

 ふりかえ輸送で、あれだけおおぜいの乗客がながれこんだのに、ひさしぶりにのる常磐線の列車は閑散としている。15輌もつないでいるうえに、通勤ラッシュとは逆方向だからか。

P9060344

P9060345

 * * * * *

 ひさしぶりに、「ぼやき」だらけの日録を書いてしまった。しかし、つりあいをとるかのように、うれしいこと、ありがたいこと、たのしみなこともいくつかあるので、じつは精神状態はわるくはない。
 いや、もっと長期的にいって、わたしは大学院生のころから二十数年、どちらかというと鬱鬱悶悶としているのが常態だったが、最近になってようやく、その基調を脱したような気がしている。としをとって、よくもわるくも鈍感になった結果かもしれない。

言語学講演会のお知らせ

以下の要領で講演会を開催します。関心のあるかたはどなたでもご参会ください。

講師 : 金子 真(岡山大学社会文化科学研究科准教授)

題目 : 「日本語とフランス語のモーダルな不定表現」

日本語のダレカ / ナニカなどとフランス語の quelque のモーダルな不定表現とされる用法(例: 「ダレカ男が来たに違いない」、« Yolande a dû rencontrer quelque amie » など)について、通言語的観点から考察する。

日時 : 2012年9月21日(金)15時〜17時

場所 : 筑波大学人文社会学系棟B415

この講演会は、科学研究費補助金 (基盤研究 (C)) 課題番号20520348「フランス語および日本語におけるモダリティの意味論的研究」(研究代表者渡邊淳也) によって実施されます。

 拙著 La grammaire claire の表紙を制作してくださるなどの縁もあり、かねてより応援している銅版画家、小柳優衣さん( http://yui-koyanagi.jimdo.com/ )が、今月、たいへん活溌に展覧会をなさるので、その情報を以下に書きとめておきます。わたしも、ギャラリー上原には見にいきます。

lllline

●個展「lllline」
 銅版画/油彩画を出品します。会場にて制作いたします。
 会期:9月8日(土)~23日(日)
 ギャラリー上原
 〒151-0064東京都渋谷区上原1-21-11

●「珠玉の女性アーティスト展」
 銅版画を出品します。
 会期:9月5日(水)~11日(火)
 銀座三越
 〒104-8212 東京都中央区銀座4-6-16
 TEL. 03(3562)1111

●個展「lllline@shigagin」
 銅版画を出品します。
 会期:9月3日(月)~28日(金)
 滋賀銀行長浜北支店
 〒526-0021 滋賀県長浜市八幡中山町1316−7
 作品に関するお問い合わせはギャラリー上原まで

●個展「時雨蝶」
 銅版画を出品します。
 会期:9月26日(水)~10月2日(火)
 伊勢丹浦和店
 〒330-0063 埼玉県さいたま市浦和区高砂1-15-1

  <201208| 201209 |201210>