日 録

 朝から晴れたが、昨夜からの雪がのこっていて、寒い。
 長距離通勤者としては、電車の運行にさしつかえるかどうかが心配だが、さいわい、小田急のロマンスカーが運休していただけで、わたしには関係がなく、ほぼいつもどおりにつくばまで出勤できた。
 つくばエクスプレスで守谷をすぎ、みわたすかぎりのくだち野を車窓からみるのがいつもたのしみだが、きょうは雪がつもって、いちだんとうつくしい。





 筑波大学の学内からかいま見ることができる筑波山の双峰は、うっすらと雪化粧をしている。





 筑波大学の学内は、はだれ雪になっている。



 きょうは13時45分から16時45分まで、修士論文の発表会で、わたしも審査員(形式的には主査)として出席し、3人の論文提出者を称讃し、祝福してきた。
 フランス語学領域で、3人の修士論文が同時に提出されたのは空前ではなかろうか。しかも来年はそれが4人の予定で、ますます期待がもてる。
 大学院全般にはきびしい時代であるが、フランス語学領域にかんしては奇蹟的な中興の様相だ。

 おわったあと、桜の≪忍家≫で祝賀会、そのあと、天久保のバー≪Dalí≫に場所をうつし、二次会をしてきた。
 こよみの「大寒」。その名のとおり、いちにちぢゅうみぞれがふりつづく。
 旧冬12月上旬から断続的にすすめている主語不一致ジェロンディフの例文収集は、電子コーパスをもちいているとはいえ、主語の不一致を認定するには結局すべての例を読まなければならず、粘着的なまでの、ただならぬ根気が必要になる。
 わたしはナマケモノのわりには、こういうことにかんして(だけ)は根気があるつもりなのだが、それでも、たいへんな長丁場なので、調子が出たり出なかったりで、いまはいささか失速ぎみだ。
 このようなときは、obstination をふたたびやしなうためにも、例文収集をいったん中断して、かわりに、いつ役にたつか確信のもてない、いや、どちらかというと、おそらく役にたたないであろう文事(研究、とはいえない段階なので)に時間をさくほうががかえって得策と判断し、じっさい、きょうはそのようにした。
 この、「おそらく役にたたない」というのは、「実利」がおそらくないだけではなく、純粋な(したがって、世間的にはすでにおおむね無益とされる)研究としてはいちおうの成果とみなされる、論文などのかたちにするという意味での有用性もおそらくないだろう、というようなしろものだ。
 しかしこうした、有用性から二重に断絶しているとみなされることをせっせとしていると、いいようのない多幸感 euphorie がわきおこってくるものだ。忙中閑あり、というほどの状況ではない。山づみの義務的な課題を横目にみながらも、こうしたことに時間をついやすことは、精神的な必要性であるような気がする。こころの救いをもとめて、まぎれこんでゆく場とでもいおうか。
 このような傾向をかかえこむにいたったのは、もしかすると、「なにをしても、大局的には役にたつものだ」といった、ものわかりのよい言説を、わたしは大学院に入学したころからしか、多数性をともなってきくことができなかったせいかもしれない。
 きょう1日をついやした「よしなしごと」にかぎらず、ひろい意味で考えなおすと、わたしの場合は「実利」からの遁走こそが研究の原動力になっているように思う。これはつくづく、現代の(とくに、学問にも社会貢献がもとめられる昨今の)研究者をつとめるには適していない性向だ。
 週末をつらぬき、連日、学外会議のしごとがつづく。
 きょうはしごとがおわったあと、みなさんといっしょに、東大駒場キャンパスの裏門を出てすこし行ったところの富ヶ谷にある瀟洒なビストロ≪Chambre avec vue≫へ。住宅街のなかにあり、紋切型でいうところの「かくれ家的名店」だ。ただし、店の名まえに反して、店内からの眺望がよいわけではない。
 コート・デュ・ローヌやボルドーのワインをのみながら、オマールえび、すずき、豚などの料理をたのしんできた。肉料理をのぞいては、味つけが比較的ひかえめで、上品な料理だった。
 絶妙な、ちょうどいいぐあいのほろ酔いで、上きげんになって帰途についた。

 とはいえ、週末まるまるはたらきつづけたあげく、あしたからも、まいにちしごとだ(泣)。









 きのう(12日)は、筑波大学大学院の木島愛さんの博士論文公開発表会でした。わたしも審査委員のひとりとして出席してきました。記念すべき機会に立ちあうことができ、とてもうれしい1日になりました。
 木島さんは学部の卒業論文(2000年度)以来、こんにちまでおよそ12年間にわたって、修士論文でも、その後ブザンソンに留学して取得なさった master 2 の論文でも、一貫して視覚動詞の問題を追究しつづけ(これだけでもすごいことだと思います)、旧冬12月、博士論文の正式提出にいたりました。
 今回の博士論文にはたいへん精緻な分析と独創的な考察がみられ、わたしもふくめて、各審査委員からおしみない祝福がなされました。

 終了後、19時すぎから、大学近隣の≪百香亭≫に場所をうつし、参会者のみなさまとともに木島さんをかこんで、おいしい中華料理とビールをたのしんできました。このお店の黒酢の酢豚(写真)は、いつたべても絶品です。
 


 きょうはセンター試験の前日にあたり、全学的にお休みです。今回の関係者のかたがたにお礼のメールを書いたり、別の論文の査読コメントを書いたりして、比較的ゆっくりすごしています。しかし、明日からはまた、学外会議のしごとがつづきます (- - ; )。
 晴れて、昼間は比較的あたたかい。正月はたいへん寒かったので、いくらか気がなごむ。

 きょうは土曜だが、フランス語学会の査読会議があり、慶應(三田)の会議室へ。これが今年のしごとはじめになった(もちろん、休暇中も「宿題」はたくさんかかえこんでいたが)。
 例年この会議は1月上旬の土曜にひらかれるので、わたしにとっては、いかにも「なまけものの節句ばたらき」という風情があり、このしごとで新年をはじめるのはここちよい。
 自分の論文にも汲汲としているのに、ひとの論文を評することなどできるだろうかと自問するのも、いつものことだ。
 学会誌の査読、それじたいは、いわば制度の番人のようなしごとで、あまりたのしくない側面があるものだが、きょうの会議はいくつか勉強になったことがあり、たのしかった。

 会議は13時から14時30分くらいまでで順調におわり、そのあと、おなじ会議に出ていたD先生、Sさんといっしょに近隣の喫茶店にながれてゆき、コーヒーをのみながら、3月にひらく予定の研究会にかんする相談(謀議?)をして、かえってきた。
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