日 録

 昼は晴れて、30度をこえる溽暑。夜は雨。

 7月末にいくつかの用件をすませに行ったきり、きょうまでつくばには行かなかった。というのは、わたしが長距離通勤者であることにくわえて、この夏はとくに節電が至上命令で、休暇中の研究室使用頻度を事前調査されるなど、どうも「あまり大学に来てくれるな」という空気を感じていたからでもある(笑)。
 しかしこの4週間ほどで、すでにわかっているだけでも事務的な用件が両手でかぞえるくらいはたまってきていたので、メール添付で書類を送ってもらったり、書式をダウンロードできる書類はひととおりつくって、午前中から大学に出勤した。
 あんのじょう、メールボックスに紙媒体できていたほかの案件もなだれを起こしていたので、まずは通知、通信、書類などを分類し、こちらから手つづきするべきものには、事務室と研究室を行ったり来たりして、15時30分ころまでかかって対処する。

 大学からのかえりみち、つくばエクスプレスと日比谷線をのりついで、銀座にゆく。17時すぎにつく。
 銀座にゆく機会はめったにない。前回はきっかり2年まえだったが、それとて自分の用事でではなく、フランスから来ておられたかたがたを案内するためだった。
 そのようなわけで、あの、luxueux なふんいきがみょうにおちつかない、、、とおもっていたまさにそのときに、知り合いが「私用で銀座なう。やべぇ場違いwww」とつぶやいているのを携帯で読んで、まさにそのとおり、とおもってしまった(笑)。
 わたしがきょう銀座にたちよる目的は、松屋銀座の画廊で開催されている≪Eleven Girls Art Collection≫の展覧会をみにゆくことだ。名まえの通り、わかい女性の作家ばかりが11人あつまってグループ化し、(アド・ホックなグループ展ではなく)昨年以来定常的に活動している。下に引用する記事にもあるように、わかい女性であることを臆せず前面に出し、グループとしての一定のブランド化をはかっているようだ。
 この展覧会には、かねてよりわたしも応援している銅版画家の小柳優衣さん(ふたつまえの記事を参照)もくわわっておられるので、彼女の作品を見にゆくとともに、あわよくばお目にかかり、ひとことふたことでも話せればよいかと期待する。
 きょうは開幕初日とあって、テレヴィ局の取材などがつめかけていて、はやい時間は応接にいとまのない混雑だったらしい。つくばでのしごとのあと、17時か18時ころにうかがえそうです、と昨日メールでお伝えしていたら、それなら大丈夫でしょう、とのお返事だった。






 小柳さんの作品は、11人という出品人数にもかかわらず、会場の入り口にならべられた3つの作品のうちの2つを占め、そこから一歩入ったばかりの区画で展示するという、もっとも大きく重い扱いを受けていた。もちろん、ひとによってジャンルがことなり、相撲の番づけのように直接比較できるものではないが、それでも画廊がわからそのような位置づけを得ておられることは率直によろこばしく、祝福したい気もちだ。
 じっさい、小柳さんの銅版画は、すでに確乎たる作風が確立しており、今回の新作は7点ほどだとうかがったが、これまでの積み重ねをふまえ、なお発展させるような作品だったようにおもった。いずれも時間と音、流れを意識させる対象が細密にえがかれ、ときおりあざやかな色のが花のように舞うという、想起空間のひろがる銅版画だ。
 新作のうちのひとつ、≪sixth free≫は、花やシャボン玉様のあざやかな色がこれまで以上に浮きたち、これまでになく明るい残像が眼裡にのこるように感じた(いや、えらそうにこんなことを書いて、すみません(汗))。ともかく、震災以来、ひさしぶりに≪快意 (euphorie)≫をおぼえた。

 ほかのみなさまの作品もひとわたり拝見したが、待機してくださっている作家のかたがたがみずから親切に説明してくださるので、たいへん恐縮だった。
 こうした提示のありかたもまた、あらたなこころみなのだろう。さらに、来場者からも話をきいて、いろいろなことを吸収したい、というようなことも明確におっしゃっていた。
 ところが、わたしのほうは、ただでさえ世慣れないタイプなのに、夏休み中で、社会的な円滑さを失っていたので、せっかく話しかけてくださってもろくなことをいえなかった。申しわけない。
 よろこばしい再会をはたした小柳さんにたいしてさえ、その延長でぎこちない対応だったかもしれない。これまた、申しわけありません。
 しかしきょう、≪Eleven Girls Art Collection≫をみることができ、小柳さんともお話しできたことは、じつに楽しく、よろこばしいできごとだった。いまもまだ、≪快意≫がみなぎり、こころがふわふわしているほどだ。

 松屋を辞し、そとに出たら、ちょうど18時の和光の鐘がなり、雨がふりだした。19時すぎ、自宅のもより駅につくと、雨は大粒になってきた。さいわい、おりたたみ傘をもっていた。きょうにかぎっては、なにごとにもかかわらず、ここちよく感じる。

 #翌日追記:おなじころ銀座にいたということで上記に言及した知り合いの方は、わたしへのお答えで、「私も銀座への目的はeleven girls collectionだったんです!少し時間がずれていたらお会いできていたかもしれませんね!」とおっしゃっていた。ますます奇遇だ。




以下、 http://trendnews.yahoo.co.jp/6/986/ からの引用:



美術界にアイドルユニット誕生!? 11人の女性アーティスト「EGC」とは何者?

11人のうら若き新進女性アーティストからなるアーティスト・ユニットが日本の美術界に誕生した。その名もイレブンガールズアートコレクション(以下EGC)――。

2011FIFA女子ワールドカップで見事、優勝したなでしこジャパンの快挙を例に挙げるまでもなく、今や世の中は女子の時代なのである。ビヨンセも歌っているではないか。「ラン・ザ・ワールド(ガールス)」と。そんな女子のパワーを実感させるガールズ・ユニットが、日本の美術界に現れたEGCだ。

そのEGCが今月24日から東京・松屋銀座で展覧会を開催する。彼女達が関東で展覧会を開くのは今回が初めてとなる。

「20代~30代のファインアート(コマーシャルアートに対して、芸術的な意図の下、作られる)の若い女性作家が東京のど真ん中、銀座にあるデパートで展覧会をやるのは初めてのこと。これはすごいことなんです」

そう語るのは、EGCのプロデューサーを務める画家の與倉豪さん。
與倉さんによると、デパートが行う展覧会は年間約50本。そこにあらゆる分野の企画が売り込まれる狭き門なんだという。その競争率は数百倍にもなるそうだ。

「しかも日本の美術界には年功序列のしきたりがあって、大勢の作家が順番待ちしているんです。30代でできたら早いほうでしょう。つまり、若い女の子達にこれまでこういう場での発表のチャンスはあまり与えられてこなかったのです。その意味はとても大きいと思います」

イレブンガールズコレクションのメンバーは以下の11人。


小山内愛美(日本画)

小柳優衣(銅版画)

高橋聡子(油彩)

川又仁奈(日本画)

谷田恵実(アクリル)

長尾友香里(アクリル、油彩)

CHIKU(切り絵・貼り絵)

百瀬晴海(木版画)

瀬下梓(日本画)

山内望起子(鉛筆、水彩画)

Saori Louise Tatebe(平面立体)


11人は「11人集まることによって伝えられることがあるはず」「よきライバルとして切磋琢磨したい」「アーティストとしてがんばっている女性達の存在をアピールしたい」と展覧会に臨む意気込みを語る。展覧会では11人による100点を越える作品が楽しめるそうだ。

11人のメンバーは與倉さんが講師を務めるアートマネジメント講座の受講生から選抜した。普段は、それぞれに個展やグループ展を開催するなど、ソロの(?)アーティストとして創作活動を行っている精鋭達ばかり。実際、会ってみると、第一印象は普通の女の子達だ。しかし、話してみると、自分の熱意を雄弁に語る子もいれば、自分の中の想いを懸命に訥々と言葉にしようとする子もいる。それぞれに持っている言葉は違えど、全員が誰にも負けない情熱とアーティストとしての自分のビジョンを持っていることが伝わってくる。

「800万円の授業料を取ってフリーターを作っている」とうそぶいた、とある美大の教授がいたとかいないとか、そんな笑えないジョークが象徴しているように知識と技術を教えるだけで、アーティストを育てることをしない美大の教育システムに対する憤りと美術界の将来を担う人材を育たなければという使命感から與倉さんは4年前から、アーティストとして作品を作ることを生業にするノウハウを教えるアートマネジメント講座を開設し、20人以上の作家を育ててきた。EGCには「日本の美術界に一石を投じたい」というそんな與倉さんの想い――夢、野心、憤り、期待、挑戦が込められている。

「美術に限らず、どんな世界でも自分はこの世界に進みたいと思うのは、小・中・高校生ぐらい。そういう子供達にとって憧れの存在って、ちょっと年上のお兄さんお姉さん。60歳とか70歳とかの大御所はもちろん尊敬の対象にはなるけど、自分が一歩踏み出すきっかけとは違う。リアリティがないでしょ。イレブンガールズ達には、子供達が美術の世界を目指すきっかけになるリアルな憧れになってほしい。彼女達は失礼かもしれないけど、イレブンガールズ達って、追いつき追い越せって思える存在。でも、そういう存在が一番やる気を起こさせるんです。たとえばゴルフの石川遼のように若いスターが出てこなければ、どんな業界でも活性化しない」

実際、昨年、EGCがながの東急で展覧会をやった時は、多くの若いお客さんが足を運んだそうだ。「それまで絵を買ったことがない人達がずいぶん買ってくれました」とEGCをサポートする画商の松尾信明さん(株式会社河童屋)が振り返る。

「デパートから求められた売上には残念ながら達しませんでしたが、新しいお客さんを呼び込んだことが認められて、今年の12月にまた、ながの東急さんでEGCを開催させてもらえることになりました」

11人を選抜するにあたっては、作品(のクオリティ)はもちろん、「ユニットとしてのバランスを考えた」と與倉さん。
「展覧会として見にいったとき、いろいろな作品があったほうがおもしろい。そこがユニットのおもしろさ。結果的に、それぞれに作風もパーソナリティも違うキャラが立った11人が集まりました。これまでは、まず作品ありきで、どんな人が描いているんだろうっていうふうに興味を持ってもらうことが多かったけど、EGCの場合は、この子はどんな絵を描いているんだろうってこれまでとは逆の興味を持ってもらえるんじゃないでしょうか」
「若い人達に来てほしい」と松尾さんは今回の松屋銀座の展覧会に期待を寄せる。

「画廊に足を運んで絵を買うって、贅沢とか お金持ちがやることとかってイメージがあるかもしれないけど、そうではなくて、もっと普通の人達が気軽に絵を買って、自分の家に飾ることができるような生活を提案したいんです。最初から大家の高い絵を買う必要はない。もっと身近なところから自分達の感覚にあった物を飾ればいい。EGCがそのきっかけになってくれればいいですね」

美術館に足を運ぶ人の数は、この10年で倍に増えたそうだ。また、おしゃれ感覚で美術を楽しんでいる若者も多いという。EGCの存在は美術熱が高まるそんな状況に新しい風を吹きこむにちがいない。

これはきっかけにすぎないのかもしれない。しかし、このきっかけはそんなに小さなものではないはずだ。EGCのメンバー達はすでに展覧会に止まらない活動の広がりも視野に入れている。そして、EGCをステップに一人のアーティストとして羽ばたこうとも考えている。そう、彼女達は才色兼備なだけではなく、新進気鋭のアーティストらしい野心も持ち合わせているのである。
 きのうまで3日間、まいとし恒例の研究会合宿のため軽井沢に行っていました。

 場所は南軽井沢のレイクニュータウンにある文化女子大学の施設、「文化軽井沢山荘」です。急勾配の山の中腹にあり、ながめのよいところです。










 わたしはこの合宿に2000年から参加していて、実感として、軽井沢といえども年々暑くなってきたなあ、と思っていましたが、ことしはけっこう涼しかったです。3日とも、午後ににわか雨がふりました。
 ことしは、太平洋の海水浴場に行くのが、放射能にたいする恐怖から手びかえられていることと、節電のために涼しいところに行こうとする考えのひとが多いようで、信州などの山のほうに目がむいているらしく、軽井沢も例年以上ににぎわっていました。
 初日午後から夜、2日目の午前と夜は研究会をして、2日目の午後と3日目はすこしばかり遊んできました。




 きのう、東京にかえってきたら35度の炎暑で、煉獄にたたきおとされたようでした。避暑地に行くのはいいですが、かえってくるのはたいへんですね。 

 かねてより応援している銅版画家で、拙著≪La grammaire claire≫にも銅版画をあしらった表紙を制作してくださった小柳優衣さんが、滋賀の新聞『滋賀夕刊』(2011年8月4日)に大きくとりあげられました。おめでとうございます!

小柳優衣さんが『滋賀夕刊』に登場

小柳優衣さんが『滋賀夕刊』に登場

 今後も活発に展覧会などをなさる予定がありますので、わたしも可能なときに見にいこうと思います。

 ★小柳優衣さんのホームページ:
 http://yui-koyanagi.jimdo.com/

 ★小柳優衣さんのブログ:
 http://ameblo.jp/yui98nagi/
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